よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

厳しい時代を乗り越える

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  どのような業種でも「仕事をする」ということは、「価値を生み出す」こと、「他の人の役に立つ」ことと同義です。

 飲食、サービス業、製造業、商社、流通業、運送業、IT、通信、そして医療でも、大半の領域において、すでに積み上げてきた基本的なノウハウや常に開発されているシステムがあり、そのノウハウやシステムを利用すれば事業は開始できます。

 

 飲食を例に挙げます。

 店を構える、仕入をする、食材をストックし、調理する、提供する、ごいうフローが必要ですが、これらは0からつくるのではなく、立地選定や店舗設計、内装、資金調達、設備、商流や物流、人の手配や調理法、消耗品や食器、プロモーション等必要な要素や業者を選択することで、仕事を始められます。

 

 しかし、飲食店の「形」ができたとしても、その飲食店が、人々に受容れられ、評価され、流行るかどうかは別の問題です。

 誰をターゲットにして、どのような場面で、どのような食事を提供するのかについても明確なコンセプトや、背景にある理念やミッションを以て、どうすれば顧客に喜んでもらえるのかを考えて、仕事に命を与えられなければ、来店を増やすことはできません。

 

 あらゆる場面で、できる限りの調査分析、改善、質の向上への取り組みが必要になります。

結果として、同業他社と比較した優位性の高さ(比較優位)をもてればやっと成果を挙げることができます。

(1)仕組みの基礎をつくる

(2)質を上げる

(3)評価される

といったフェーズをクリヤーする必要があるのです。

 

 医療も同じです。診療所や病院は、ハード的には多くの業者の支援を受け、また病院では施設基準をクリヤーし医師やスタッフを集めれば開業は可能です。患者が来院すれば、直ちに行おうとする医療を開始することができます。

 

 人々に受容れられ、評価され、地域から頼りにされるためには職員の日々の弛まぬ努力が必要です。業務を標準化し、評価し、教育し、改善し、常に変革をしながら仕組みや体制をつくりあげていく必要があります。その取り組みは他のどのような業種に比して繊細で緻密なものでなければなりません。

 また、比較優位をもつためには、他の医療機関とここが違うという特徴をつくるためのさらなる努力や研鑽が求められます。

 

 まずは業務が迅速かつ正確であること、そのたまの仕組みづくりや職員の技術技能向上が行われ、他の医療機関と違うと実感してもらうこと、そして、地域では、自院にしかない医療サービス提供ができるよう新しい分野に挑戦するといったことが該当します。

 

 真面目に物事に取り組む職員を多く集め、強いリーダーシップによって、職員が自らの価値を高めるため、皆で決めた到達点に向っていく医療機関だけが厳しい時代を超えられると、いま考えています。