よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

患者さんからみた病院と病院からみた患者さん(4)

今日は病棟婦長と看護師とエイドの人員過不足調査をしました。

患者さんを看護するために必要な人員をチェックするともに、もちろん看護基準は担保するものの、それ以上にいるスタッフの削減を目的としてのヒヤリングでした。

1.合併症の患者さんに対しては少し年齢の高い看護師さんをリーダーとして若い看護師さんを配置
  寝たきりのかたや、モルヒネ対応(ただしターミナルはしていない)の患者さんが多い

2.認知症の患者さんが多い病棟は比較的高齢の看護師と男性看護師をバラけている

3.精神病棟ではパスらしきものをつくり対応している

4.できると思う人の比率20%、できないと思う人の比率10%、他は普通(なお、これは20%の人  が80%の重要な仕事をしている、あるいは量的にも80%の仕事をしているといったパレート法則  の証明です)

5.機能評価のための仕組みづくで時間がないことは確か

6.しかしタイトではない

7.体位変換のためのエイドさんが認知症患者病棟に少ない(与薬していても自己抜去が多く、そのとき  だけは抑制しなければならない)

人件費総額をいまの水準に抑えることのため、人員を減らし、患者さまに貢献し評価される人には多く、そして創でもない人にはそれなりの報酬を、というロジックでの人事政策をとるための人事考課制度を設計しています。

職員一人一人の個人カルテ(教育カルテ)をつくり課題を明確にするとともに作業量の測定を行なうこと、さらには看護標準類似のマニュアルやチェックシート、職務基準をつくり看護師の評価を行なうこと。

それから評価されギャップがある(これだけできていなければならないのに、できていないじゃ~ん)場合の教育体系整備によって、目的を達成したいと考えています。

重要なのは、本当に患者さんのために支援していくということが言える看護師やコメディカルは自然にその人なりの(そしてそれは組織なりの)最大成果を挙げる行動をとっている可能性が高くなるという仮説です。

その仮説が正しければ、教育制度も評価制度も何もなくても、モラールが高く、使命感がある人を採用することが最大の病院改革につながるということになりますが…。そうした人だけを採用することは、なかなか難しいので、仕組みづくりを行なっていくのです。
それができなければ、本当に人が足りているか、足りていないかは判らないという結論でした。

なお、患者さんからみれば、医療従事者が親身になってくれれば、あ~ぁ訓練されているな、もちろん個人の属性もあるだろうけど、病院の教育が行き届いているな、と気がつく人もいるかもしれません。

結局スタッフをみれば、病院の体質が判るということに患者さんや家族が気がつくと、医療の質は実は医師だけの問題ではないことが判ります。