よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

いろいろなプロジェクト

先日、ある病院でリエゾンナースのプロジェクトにて全体の業務フローを設計したプロジェクトの会議に出たあと、DPC原価計算プロジェクトに参加、指標管理委員会の会議に出席、そして事務長と職務基準のチェックについてのミーティング等を行いました。

 入退院支援看護師とでもいいましょうか、リエゾンナースの仕事の内容は深いですね。
そもそもDPCにおけるパス外来化の要請もあり、しかし、そのなかで、であるからこそ事前に合併症が把握できる、既往症に対する手が打てる、ということで従来入院してから転院することや、手術前に時間をかけて検査をするといったこと、さらに治療をしてから手術といったことへの対応ができるようになります。

 つまり、合目的な入院が達成できることになり、ベッドの有効活用ができるようになることは間違いありません。

 今日の議論は、リエゾンナースを試行的に入れてみて、どのような合理性が担保できたのか、現場スタッフのアナムネや指導の関連する時間を削減、他の付加価値業務に時間を振り向けることができたのかについて各部署から実態に関する報告がありました。

 また、不足する事項は何かということについての検討が行われたのです。外来パスという考え方も単に検査や撮影の外来化ということではなく、こうした業務内容の変更や、全体的統括管理が前提となることを理解しなければなりません。ある意味、仕事のやり方の見直しや各部署担当者の役割分担の変更といったことへつながる仕掛けです。既に数ヶ月検討していますが、着実に従来にないよい仕組みになってきているな、という実感があります。

 医師別治療内容について同一疾患3患者データを複数の医師について作成し、治療の内容を比較した資料は、いままで見えていなかった治療内容、正のバリアンスの検証、さらには医師間でのベンチマークを行うことができるもので、なかなかよいものです。

 以前患者別疾病別原価計算を同一疾患で複数の医師において実行したところ、原価がすべて異なるため、どこが違うのかということを調査しようということから、はじまった調査分析でした。今回は原価をすべて計算するところまではいかなかったところが惜しい感じはありましたが、まずはこうした比較を行う、内容の分析を行う、ということがなかったために、理解できなかったりコントロールし得ないところが、よくみえるようになりました。

 全疾患について複数症例、こうした分析をしながら傾向や医師毎の治療内容をパス別に検証しようという結論でした。

 指標管理は、かなり詳細な指標についてもネット上で開示し、各部署の責任者が自らの行うべきことを確認することができる情報となりました。

 勿論、BSC用の指標は別途ありますので、それはそれで目標指標としての意味あいから、具体的な計画に誘導されるものでなければならず、別途個別に検証することになります。例えば放射線科であれば、MRIの件数ではなく、能力までをも加味した稼働率、疾患別検査件数、医師別オーダー数などが管理されるべき指標として目標化されています。

 ここからの情報により、病院全体がどのような業務を行なえばよいのか議論することになります。

 いろいろなプロジェクトで、新しい着眼をもった活動を行うことが必要です。原点回帰の医療を常に説明していますが、地道な活動によってのみ、それらは達成されるということであると考えます。