よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

頑張っているお店

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 クライアントの事務長にとっても頑張っているお蕎麦屋さんにつれていっていただきました。いつも病院に訪問すると、このお蕎麦屋さんにお昼を食べに行くことが多いのですが、この看板は最近できたようです。
 
 一生懸命と言う言葉は、よく使いますが、本当にそうなのかを振返る必要がありますよね。この看板をみて、言葉だけが独り歩きして、頑張りますが、合言葉になってはいないか考えさせられました。このお店は近隣に食べ物やさんがあまりないということもあり、本当にはやっています。いつも車が駐車場にたくさん停まっていて、活気のあるお店です。

 連れて行っていただく事務長は「顔」なので、食事の後にはコーヒー(ご自分でどうぞ系の用意はしてあるものですが、お店の人は原則運ばないようです)や果物、お漬物といったものを出してくれます。

 明るく、元気に少ない人数でテキパキ仕事をこなす年配の女性の姿は、とても気持よく、お店の活気に花を添えています。先日はメニューにない、お蕎麦とうどんの合い盛りをお願いしたら、ざるうどんとざるそばを半分づつにすればいいですね、と臨機応変に応えてくれました。

 病院の業務改善がトップダウンで進まないのは、現場に臨機応変に工夫をしながら、患者さんの気持になって、あるいは立場になって仕事をすすめていけないことに原因があります。言われたことや決まったことしかできないのは、しかし訓練を受けていないことも理由としてあげることができるかもしれません。問題解決手法が巷ではおおはやりであり、ブレイクスルーといった言葉は共通用語になっていますが、病院においては、PDCAすら理解できていないスタッフがたくさんいます。

 これはプロとしてスペシャリストとして、技術を磨いてきた欠点であると思います。海外で優れた病院では、ケアマネジメントにおいて、問題解決能力を高めるための教育が行われていることは当然であるという記述がありました。業務改革にはシックスシグマが利用されるしISOに近い概念が使われているということです。

 ISOをとる病院であれば、DPCAもマネジメントサイクルの基本も、業務フローも、マニュアルもまずは学習することになりますが、組織全体がそれをしないために机上のものになるか、判らない人達に邪魔をされる、協力してもらえないなどの理由で、うまく進捗しない例が多くあります。

 まずはゲリラ的に中間管理職が学習をして、マネジメントの仕組みを理解したうえで、現場でアミーバー的に業務改善ができる体制をつくりあげていく必要があります。
 
 別の病院のトップとミーティングをしているときに、検査技師長から、面談を申し込まれ、質問をいただきましたが、自分は検査科の経営者であると考えている。手法を知りたいということを話されていました。一人ひとりの業務分掌や分担、権限の行使等についての手法や仕組みづくりを説明しましたが、方法が判ればばっちりやってみるということであり、自院においてこうした活動が他のリーダーの範になると
いう話をさせていただきました。

 中間管理職の教育育成を徹底的に実施すれば、病院の多くの職員を活性化することが可能です。戦略立案や医師へのインセンティブ、指標管理、原価計算とともに、それらを受容する人や組織をつくりあげるための具体的な活動がなければ今の時代を病院は乗越えていくことができないと、最近強く思います。地域医療に貢献したいという多くの職員の意欲を削ぐマネジメントをしている病院が多くあります。

 組織や仕組み、手法や具体的ツールを提供することが今多くの病院に必要です。
 この看板をみて、そんなことが走馬灯のように思いだしたのでした。