よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

コストをどう削減するのか(2)

 在庫管理を行い、ロスをなくすことも必要である。

 SPDを導入すればコストが下がると思ったら大間違いである。
 たとえば、多めにシリンジをポケットに入れたり、余計に在庫をもとうと思う看護師さんが実際にいる。また、業者にもシステム利用料や人件費の支払いがある。とかいうことで、なかなかコスト削減ということではメリットがでない。 

 別途、院内在庫が増加しないように部門別損益計算を導入し、病棟や診療科別にコストを管理することで、はじめてSPDのメリットをとるこができる。これは、数字で各部門のコストを把握するからである。余計に発注していれば、この段階で部門損益が悪化することになる。
 
 在庫管理については病棟の定数配置も問題となる。リードタイムを考えたうえで、定数配置の在庫を削減することが必要。

(2)固定費の削減
 人件費や、委託費、水道光熱費等をはじめ、上記変動費として挙げたもの以外はすべて固定費であると考えることが適当。

 人件費については時間外を削減することや、非常勤医師の常勤化を図ることが通常であるが、逆にクラークや助手を採用して、看護師の生産性を向上させることもあり、必ずしも、これをすべて削減すればよいということにはならないケースがある。

 もちろん、職員の人件費絶対額を削減することはリスキーであり、どうしても利益が捻出できない場合の最終手段となる。

 委託費については、給食、リネン、医事、清掃費や警備、電話交換や植栽等さまざまなものがある。これらについては、単に委託費削減ということではなく、業務量を調整したのち、すべては無理としても、単価は変えず量を変えることで対応することが一般的。
 
 これであれば業者との交渉もうまくいく。給食のスタッフの業務低減や、リネンの一部自前化、医事関係の委託範囲見直し、清掃面積や頻度の見直し、警備範囲縮小、電話交換の人員削減。

 なお、非常勤医師を少なくして常勤医師に変えていくことなど、実際には、医師コストについても整理をも行う必要がある(続く)。