よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

メディカルホームの優位性(3)

 門前型メディカルホームの優位性について説明しよう。 

(1)軽装備の病院と同じ機能をもつ
 門前にあることから在院日数が短縮された病院の機能を引き継がなければなりません。場合によっては、パスを途中で切りだす可能性もあります。

 10日を切る状況がDPC病院の平均在院日数になれば、明らかに米国のホテルと同じ形態の組織が必要になるでしょう。

 すでに10日を切っている病院が日本にはありますが、そうした病院でも包括外患者が入院していて、彼らを門前メディカルホームでケアすることで、病棟の回転率はあがり、そして日当点もあがります。患者さんは、広いメディカルホームで廉価に医療を受けることができます。(2)参照。

 
(2)個室料よりも廉価で、個室より広い住居でケアを受けることができる
 個室が1万円として、1ヶ月で30万円。

 しかし、メディカルホームは18平米あっても18万円程度での家賃で機能を提供できます。通常は都内でも管理費を入れて14万円程度、食事を入れても18万円以内。

 門前のメディカルホームでは、管理人が看護師になることから、管理費が少し高くなるが、それでも個室に入っているよりは広く、廉価にかつ病院で受けていたと同様のサービスを受けることができます(訪問診療、訪問看護、居宅介護は別支出)。

(3)入居者はいつでも安心して生活できる
 病院の近隣にあるということは、とても重要です。患者さんも、医療従事者も循環医療がきちっとできる。

 DPC病院は超急性期の患者さんを扱い、回復期や亜急性期病床を経て、メディカルホーム。あるいはダイレクトにメディカルホームに移動。それは患者さんにとればとても安心できることだと考えます。

(4)病院は平均在院日数を短縮することができる
 前述しましたが、平均在院日数と、DPCにおけるⅠ、Ⅱ期間の日数があります。前者は入院の短い、白内障や形成、ポリぺク等で稼げますが、結局は全体を短くしなければ日当点がさがり、病院を維持するための収入を得ることができなくなる可能性があります。

 全体として、複雑性を担保し、効率性を達成するとなると、やはり安心して患者さんを共同で診れる、質の高い門前のメディカルホームが近隣にあることが必要になります。

(5)サテライトをもち、循環型医療を実施することができる
 病院がサテライトをもち、在宅療養支援診療所をつくることが可能です。

 そこから訪問診療をするチームをつくることで、増患し続けなければならない(在院日数が短縮するため、ベッド稼働が落ちることが原因)DPC病院は、一定のケアを行いつつ、地域での患者さんの把握と、治療ができる体制を維持することができるようになります。

 今後、まずは地域メディカルホームができ、療養病床や地域の維持期の患者さんを対象としたケアを行うことになるでしょう。

 平成26年からはじまると予想される地域一般病床の包括化がさらに患者さんをメディカルホームに誘導します。ここでのメディカルホームは明らかに高専賃であり、若年層の患者さんはレアであると考えます。

 しかし、22年からはじまる調整係数廃止、そして新機能評価係数がで揃うころには、DPC病院も淘汰されるところがでてくる。

 そして、残るDPC病院には患者が集まり、制度改正のなかで、在院日数が短縮されてくると(DRGにはしないが、DPCを先鋭化する、というながれがあります)、門前のメディカルホームが出現し、それらがDPC病院の廻りを取り巻くように林立してくることになるでしょう。

 欧米はホテルやレジデンスで、そうしたながれをつくりだし、在院日数を超短縮してきているということを思いだす必要があります。

 日本だけが行ってきた出来高での入院医療が終焉を迎えようとしているか、患者さんをどのように、誰が、どこで診ていくのか。

 そのかたちは欧米に学ぶ必要があるのです。