羽田空港から、ひとしきり冠雪した高い山の上を過ぎると、右方向にやはり白く冠をかぶった山々がみえてきました。地図とみくらべながら確認しました。
飛行機はゆっくりと景色を後方に追いやりながら、進んでいきます。日差しは強く夏の訪れさえ感じさせる雲一つない青空を飛ぶ様子は非日常です。人間のつくりだした凄さに感じ入りながら、山々をずっとみていました。
近くにいけば、とても踏破できない山々であっても、こうして飛べばあっという間に乗越えることができる。辺りも見渡せ、先も見通せることは爽快であり、また心地よくもあります。こんな気持ちで仕事ができたらどれだけよいだろうと思います。
壁にぶつかり、難題がのしかかり、歩いている道に亀裂が走り、谷ができる。視野は狭く、全体を見渡すこともできず、その場にいると考えも及ばない、ということがよくあります。壁に圧倒され、難題に押しつぶされ、道の亀裂に落ち、谷を転げ落ちることをたくさん経験してきました。その都度、誰かに助けられ、また膝を擦りむき、泥だらけになりんがら必死に這いあがってきた思いがあります。
力をつけ、高く飛べる自分をつくる闘いは、きっと最期のときを迎えるときまで続くかもしれません。
ただ、絶対に挫けない、不平はいわない、自分の責任として捉えるということを継続していきたいと思っています。
不満があり、嫌なことがあり、それを社会や制度のせいにして、何か解決するのかどうかを考えれば答えは明らかです。結局自分が変わる以外に環境を変えることはできないという事実を越えることはできません。
ネガティブになり、社会を恨み、制度を恨み、組織を恨み、そのことにより何かが変わらないのであれば、その時間をより積極的な領域に振り替えることのほうが生産的であることは間違いがありません。
私の周りには幸せなことに、ネガティブな人は一人もいない。それが私を勇気づけるし、またやる気にもせてくれる原因です。
しかし、やはり高く、はやく、簡単に何かを超えていける力を持ちたいという思いを払拭することはできません。この景色をみて、それを求めている自分がいます。まだまだ修行が足りないということでしょうか。
そうこうしている間に飛行機は広島空港に到着し、現実に戻ることができました。力をつけるため地道に活動していこうと決意しています。