よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

病院が今行うべきこと

 ご承知のように、日本経済は瀬戸際にきています。悲観主義者ではないとしても、明らかにやばいと感じます。医療は、経済や人口に影響されるのは間違いがなく、景気が悪くなったり患者が少なくなればどうしても小さくしていかなければならりません。

 しかし、どのように医療は小さくなっていくのか。地域別に病院を併合していくこと、そして業態別に病院数、病床数を少なくしていくことの組み合わせにより、医療を小さくしていくことになります。もちろん、そこにおいては病院に頼らない医療、例えば診療所での医療に代替されたり、グループホームやサービス付高齢者向け住宅などの施設のなかで行われたり、自宅で行われたり、そしてさらに医療そのものが制約されることも起こると想定されます。

 地域のニーズや自院の経営資源をうまく掌握して、地域に求められつつ業態を変化させ、医療を継続する組織や、耐え切れず消えていく組織があります。自院の強みはあるか、弱みを克服しようとしているか、機会をうまく捉えているか、脅威を排除する政策をとっているか、検証してみる必要があります。

 まずはよい医療従事者をそろえること。ブランドな病院となるためのマネジメントを行うこと。それぞれの職員が力を発揮できるよう組織が支援を行うこと。そして何よりもどの規模になろうと、トップがビジョンをもち組織を牽引することが必要です。

 いま、多くの病院職員は死にもの狂いで活動し、強固な経営基盤をつくりあげる必要があります。
少なくとも1年、半年、1ヶ月を大切に、計画的かつ具体的な成果をあげるため活動しなければなりません。医療に必要な組織やツールは徹底的に整備する。そして中間管理職を育成。理事長、院長の化身のような中間管理職を育成することができれば、そこから新しい活動が次々に生まれてくることは間違いがありません。

 危機感を情勢し、しかし地域における自院の役割や使命を明らかにして、一定の目標を常にクリヤーできるよう体制整備を行う必要がります。自分が医療人として人生を生き切ることができるかどうか、最期に後悔しない生き方ができるかどうか。すべて自分が責任を負わなければなりません。到達点を決め、成果を上げ続けることが一人ひとりに課せられた義務であるといえます。

 各部署、どのような部署になりたいのか、機能、役割、組織における位置づけが検討され、プロとしてどのような自分になっていきたいのかを明らかにすれば、必ずそのポイントに到達することができると確信しています。こうしたい、こうなりたいという将来像はそれが善であれば必ず達成されると私は考えています。

 地に足をつけた活動を行うためにも、病院全体としての方向を明確にして、着実に行動する必要があります。