よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

この時期はなんといっても経営方針

4月から新事業年度が開始される多くの病院で、3月の経営方針発表に向けた活動が行われています。

組織が機能するためには、組織構成員の意識を一にする必要があります。人がどのように成果をあげるのかに組織のパフォーマンスが依存するからです。

当たりませのことではありますが明確な経営方針が開示されない、開示されても目標化されない。目標化されても管理されない。管理されても評価されない。といったことが行われている病院が多数あります。

現場の課題や環境の問題を解決するために熟考し、練りに練った明文化した経営方針を開示すること。その達成方法を組織で先に想定し、各部署から出た対策を補足、あるいは支援するかたちで現場に浸透させていくことにより実効性を担保します。

これらは、ガバナンスの基本的ルールであるとともに、実際に成果を獲得するための重要なマネジメントフローです。本来、どのような組織においてもこのようなながれをつくりあげていない組織が期待通りの成果をあげるのはとても困難です。

センシティブな業務の集積された医療においては、こうしたながれをつくりださなければ成果を思うようにあげていくことは不可能に近いと思います。

とりわけ医療制度改革が進み、業態ごとにとても厳しい環境に直面する病院において、職員一丸となり活動するためには、病院の進む方向を明確にし、戦略化し、具体化し、組織に落とし込み、職員一人一人の行動をそれらの方向に収斂させることこそが重要です。

まずは、自院が上記のながれをもった活動をしているのか、実質的に成果をあげる体制になっているのか、そのための文化や風土を醸成する環境があるか、リーダーがいるか、支援する部隊があるか、といったことについて検証してみる必要があります。

われわれが支援させていただく病院はすべて、こうしたことを行える体質をもっています。というよりも、人はそうした環境があれば力を発揮できる生き物であるという思いがあります。

ただ、誰もそれを責任をもって遂行しようとしない。組織を動かすことができないといった病院が多くあります。

真剣に何かを変えようとするときには、もっとも効果的かつ合理的な仕組みを活用することが必要です。

確かに上記は簡単なようにみえて、かなりの分析や調査、議論を重ねたうえではじめて最適化されるものであることは間違いがありません。しかし、まずはフレームワークの確実性を検証し、不足するところを補てんし、修正し、あるべきかたちとなるよう行動を開始することが大切です。

形式だけではなく、実質を確保できるよう、誰かが立ち上がり、活動を開始する必要があります。
もう医療に残された時間はそれほど多くない、ということに気が付かなければならないと、私は思います。