その都度考えながら、何かをすることを手作りといい、決まったやり方で行うことをシステムといいます。
手作りは、その都度の対応ではありますが、ものにもよりますが、例えば一つ一つが熟練者の手によりその場でつくられるものであれば、高いレベルのなかで、よいものもできあがったりすることがあります。
一方、システムは、誰でもできるように仕組まれているので、質が極めて高いということはないことが一般的です。しかし、熟練者に依存しないということでいえば、ローコストで一定の成果をあげることができます。
どちらが良いか悪いかではありませんが、業種や規模、商製品サービスの内容により、何かをするときに手作りなのか、システムを使うのかを考えることが大切です。もちろん、システム化できないものもあり、またシステム化はできるけれどコストがかかりすぎるため規模が小さい間は手作りで、というものもあります。
ただ、システム化できるものについて、手作りなのか、システム化なのかについて、取り扱いを間違えると、システム化してやれば充分なのに、手作りで時間をかけ過ぎたり、手作りで質を担保すべきなのに、それができず不効率を生むことがあります。コストや生産性、質の担保について十分に検討し対応する必要があります。
現場でまず、システム化して良いもの、システム化しなければならないものを探索し、システム化できるものはシステム化しなければなりません。その段階で熟考すれば、前述したようなミスは生まれません。
システム化すべきものをシステム化できないと、かけなくてもいい労力をかけることになります。しかし、システム化するにも前述のようにコストが発生するため得られる効果との比較を行う必要はあります。手間やコストをかけられない組織が、いつまでも対応できず不効率から抜け出せないこともあります。
マニュアルを整備すべきなのにそれができない組織やルールを明確にできず、いつも熟練した人が動き回りながら仕事をしている組織が該当します。
熟練した人が不足してくると、常にない知恵を絞り、考え、リスクを抱えながら仕事をしなければならない新人やスタッフを抱えて不確実性が高い仕事をするはめになります。
ある組織でマニュアルや教育システムがなく自分で都度考え仕事をしていて不安だという意見がありましたが、まさに行うべきことが行えていない組織のリスクを提示する事例だと思います。質を落とし生産性を引下げクレームを生み、不必要なコストを発生させる要因だからです。
取り組みをしましょうというと、人が足りない、時間を割けないという、言い訳が出てくる組織です。
結局のところ、言い訳しなければならない現状にある壁を乗り越えられるかどうかで、生産性が高く質が高い仕事が出来上がるかどうかが決まります。組織力のある、成果を挙げられる組織になるために、壁を乗り越える時間や人を割く為のプランを立てるところから始めなければなりません。
時代に勝ち続けるため、手作りのよさとシステム化のよさを取り入れ、柔軟に対応できる組織運営を行うことが得策です。