よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

中小企業にはアセアン進出が必要

 
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 景気がなかなか上向きません。少子高齢化が益々顕著になるなか、日本経済が大きく転換期を迎えています。

 

私たち中小企業はこれからどのように生き残っていけばよいのでしょうか。

 中小企業というくくりですべての業種を語ることはあまりにも無謀です。

 しかし、何かしらの成功事例をもつ、あるいは成功事例がなくても、いずれかの分野において高い優位性をもつ事業であれば、自社がマーケットリーダーであり、市場のシェアを占有し、これ以上事業を伸ばす余地がないという状況ではないかぎり、自社にとっての国内市場が広がっていることは事実です。

 自社の経営資源をしっかりと掌握し、それらをどのように活かしていくのかを考え、挑戦することがとても大切です。

 

1.自社の強みは何であるのか、

 

2.それは普遍性があるのか、すなわちどこでも通用するのか、

 

3.不足する資源を補充すれば、さらに成果を上げる可能性があるのか

 といったことについて検討しなければなりません。

 なお、自社の市場をどのように捉えるのかで、判断が変わりますので、事業領域を拡大することをも含め、市場の再評価をしてみることもよいと思います。

  

自社の経営資源や市場を検討することで、現状の事業をより拡大していくことがいまのところ可能であるとしても、マクロ的にみたときの日本そのものに対する将来への判断も同時に行っておく必要があります。

 

 ここで、マクロとは、国内外の人口動態、経済活動、政治、世界情勢、他国のマーケット等であったりします。

 

 これらを考慮し、自社の経営資源や市場の検討成果を、マクロデータと重ね合わせ、日本の3年先、5年先の状況を予測することが必要です。

 

 就業人口が減少し、経済成長率を落とす日本だけではなく、海外にも目を向けることが必要であることが分かります。

 

 とりわけ、人口6億人を超える東南アジア諸国連合、アセアン各国の動向はとても重要です。アセアンの一人当たりGDPは日本と比較して、とても小さく、まだまだ発展の余地があるからです。

 

 ここで留意しなければならないのは、所得層の分類です。アセアン各国の国民が押しなべて低い所得のなかで生活しているのではなく、日本の一人当たり所得を凌駕する所得を得ている層から、かなり低い所得しか得ていない層までが幅広く分布しているのであり、平均的な日本人以上の生活レベルの国民も数多くいるという事実を知らなければなりません。

 

 文化度についても国内外で学び、優れた知見をもった富裕層に該当する国民が一定数いることも事実です。

 

 多様な市場の中で経済が成立していることは、日本企業が事業展開を図るときにとても重要な要素だと考えています。

 

 その状況は、まさに日本の高度成長時代と類似していますが、日本が先頭を切って国力を身に付けた時代と比較して、模範とする国々が数多くあり、先進国のナレッジを容易に導入できる現代のほうが、より早い速度をもって国力をつけることが可能です。

 

  手遅れにならない今のうちから、縮小する日本市場と並行して、日本の歴史をさかのぼることができるアセアン各国への展開を考えることが重要だと思います。

  

日本がたどった成長の道を粛々と、しかし我々よりもより早く進むアセアン各国は、バラつきあるものの、益々そのスピードをあげて発展しつつあります。

 

シンガポールやブルネイは日本の一人当たりGDPを抜いていますが、いずれタイやマレーシアも同じ位置に、自国経済を引き上げていくでしょう。

 

 政治的に安定してきたミャンマーもタイの影響や中国、韓国の支配権のなかで、これから高い成長をしてくることはいうまでもありません。

 

 文化的に日本人と親和性があるベトナムも9000万人の人口を背景に、大きく成長してくるだろうことは現地にいるとよくわかります。

 

 ラオスやカンボジアは小国ですが、例えばカンボジアの首都プノンペンの発展ぶりには目を見張るものがあります。

 

 フィリピンは言語が英語であることから、一定のリスクを排除すれば事業展開が困難な場所ではありません。

 

 インドネシアは2億人を超える人口を背景に、益々発展していくことでしょう。

 自社の経営資源やターゲットとする市場に合致した国を、これからの事業展開の場として俎上に乗せ、日本市場の延長線上に置きながら計画を練ることが必要です。  

   

 もちろん、異なる各国の文化や歴史、宗教や国民性を考慮した事業展開を行わなければならないことはいうまでもありません。清濁併せ呑むことも含め、日本国内で事業展開を行うことに比してアセアン各国での展開が容易でないこともたくさんあり、アセアンがバラ色の世界ではないことはいうまでもありません。

 

 しかし、単一民族である日本人が、人口の減少する日本において、このままの状態でいてよいわけがありません。

 

 いまこそ多様な人種をもつアセアン各国で、日本の優位性を発揮し、彼らに喜ばれる新しい取り組みや、新しい事業をつくりあげることが必要です。

 

 挑戦せず、益々小さくなる市場にしがみつき、拡大のチャンスがあるにも関わらず、目を閉じて内向きに生きていくのか、海外に出て、新しい日本人の生き方を見つけていくのか。

 

 日本が国家存亡の危機にあると認識し、国をあげてアセアンの市場で事業を展開することが必要だと思います。

  

さて、日本は戦後の発展を通じて、また多額のODAを通じてアセアン各国の尊敬を得ることができました。

 

 中国や韓国に比して、地理的な距離があることがかえって日本に対する憧れを増幅したこともあり、規律ある行動がとれる温厚な国民性から生まれた尊敬を壊すことなく、ながく彼らの思いを維持することができていたと考えています。

 

 しかし、中国や韓国がアセアン各国に展開し、現地で事業拡大することで直接的な影響力をもつとともに、アセアン各国国民が国内外で学習し、多くの経験を経て成果をあげ、力をつけてくると、日本モデルを採用しなくてもうまくいくという自信をもつようになります。

 

 現地に進出している日本企業が少なく、彼らの身近に中国や韓国、そして自分たちと比較するモデルが少ないことも問題です。結果、日本は徐々に彼らの記憶から遠のくことになります。彼らの成長に併せて、いずれは日本の優位性は徐々にフェイドアウトし、日本に対する思い入れが小さくなってくるのは自明の理です。

 

 本来であれば、国家や大企業レベルではなく、国民レベルでアセアンをとらえ、彼らの成長のために、アセアンを身近な事業活動の場としていくことが必要であったと思います。

 

日本にはさまざまな市場を維持するための十分な人口があり、そのなかで大きな経済力をもつことができました。大手企業や関連する企業を除き、日本人がアセアン各国に大挙して出ていく理由を見つけづらかったということが、アセアンを身近な市場として捉えられなかった原因かもしれません。

 

もちろん、いままでは、アセアンは生産基地としての魅力があったとしても、消費基地としてアセアンが一定程度成長していなかった時代であり、アセアン各国に進出したとしても、なかなか成果があがらなかった可能性もあります。

 

各国の経済活動が活発になってきたのち、アセアン経済共同体が生まれ、国別の障壁がなくなってきた今が、まさにアセアン進出を考える適切な時期なのかもしれません。

 

 何れにしても、まだアセアン各国の一部の人々に、日本が尊敬され親近感をもたれている間、これから数年が大きなチャンスです。日本ブランドが我々を守ってくれているこの時期に、アセアンへの展開を図ることが有利だと考えています。

自社の事業はどのような優位性をもつのかを確認したうえで、アセアンとは何か、どのようなチャンスがあるのかを、アセアン進出支援協会で学び、アセアンへの事業展開を、ともに図っていこうではありませんか。

 

(注)写真はミャンマー、ヤンゴンの小児科病院の最上階にあるインターナショナルクリニック。バンコクグループのサムティベート病院の支援があります。ヤンゴンの高級病院は皆、サムティベート病院と連携しており、直接外国の病院が建設できないミャンマーではこのような連携が盛んです。

 

我々は、アセアン各国の病院を周り調査をするとともに、彼らとの連携のなかで新しい医療のかたちをつくりあげようと孤軍奮闘しています。なお、受付の女性に、アセアン進出支援協会のポーズをしてもらっています。