よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

わかりやすい病院経営(1)まずは情報収集だよ

我々が依頼を受ける事項で、結構多いことは人事管理体系の構築です。
目標管理制度や成果主義に基づく評価制度といったものが中心軸になります。

医師の給与決定方法とか任期制もありますが、やっぱりトップがこの厳しい環境下において、公平公正な評価制度をつくりたいということもありますし、実際病院機能評価を受審しようとすると、どうしても人事管理に一定程度の仕組みをもっている必要がありますから、その意味でもこの分野が多くなるのでしょう。

でもって、まず初めに行うことは、職員(場合によっては医師も含む)へのアンケートです。
いわゆるSWOT分析の基本は病院のスタッフに現状を聞くことが、病院の課題を発見するためには有効
です。経営方針を立案し、部門方針を確立、さらに個人の目標を設定するというながれがなければ、具体的に何をすればよいのか、そしてどうすれば評価されるのか(高い評価を得られるのか)が判りません。

人事管理体系だけつくるのではなく、病院の目指しているものはなにで、それをどのように達成しくことを職員(及び医師に)期待しているのか、をまず提示することが必要です。そこから部門や個人の行動が計画され、それが達成できたかどうかを評価するというロジックです。

したがって、病院の目指しているものは何かを明らかにするためにSWOT分析(強み、弱み、機会、脅威を分析、課題を抽出すること)を行うことになります。追加的に我々がもっている病院200項目チェックシートを利用し、簡単な平均在院日数、病床利用率、平均在院日数といった大きな指標から小さい指標にブレイクしていくなかで、さまざまな定性、定量領域を調査することになります。

戦略的にはマーケティングも必要ではありますが、短期的には上記で十分であり、中期的な課題を抽出するときに限り医療圏、診療圏調査を実施することになります。

当社がもっとも職員からのアンケート項目で数が多い病院は、4000件の課題(同じ課題も多数)があがってきたケースがあります。最も職員が1000人近い状況でしたから少ないといえば少ないですが(提出率も80%程度)、職員が正直に説明してくれることが一番当該病院の課題を示していると考えます。

院内を歩き、チェックシートで分析を行い、アンケートを分析することで、当該病院の経営課題と優先順位を決定し、そこから病院改革がスタートすることになります。