よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

医療は人により成果をあげる

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 病院には、現場のマネジメントと部署のマネジメント、そして組織マネジメントがあります。さらに追加すれば業態のための特別のマネジメントがあります。4番目のマネジメントは例えばDPCマネジメントや療養病床のマネジメント、精神病床のマネジメントなどです。

 病院は人が医療を行うことで成り立っています。結局はどのような医師とどのような看護師、そしてどのようなコメディカルが存在するのかにより、行うべき医療のかたちが異なります。

 したがって、病院は結局は医師をはじめとする、人がどのようにマネジメントを行うのかといったことにより機能を発現することになります。同じ医療資源をもっていても、意志と技術により大きく成果を変えることができます。

 医療制度改革は、ますます機能分化を明確にする方向に進んでいるし、病院ベッドを削減するための政策の導入を行っています。過去の文化へ決別をして、地域貢献しつつも、医療と財政のバランスをとるという姿勢をもつ必要があります。

 科学的(体系的・継続的)なマネジメントを導入し、病院全体があたかも生き物であるかのような活動を行う必要があります。

 そのためには、現状を分析し、課題を抽出するとともに、対策立案を行い、課題を解決するかたちで、「あるべき病院経営」を探索しなければなりません。

 病院経営には基本的な事項がありますが、それらを構築することが病院オペレーションの基本であり「あるべき病院経営」を行うことであるという説明を以下行います。

次のものが行われているかどうかを検証します。

(1)方向の決定及び戦略立案、事業計画化
①職員からのアンケート収集

②SWOT分析の実施

③医事及び診療内容分析

④医師との面談による情報収集(単価及び患者数)

⑤ヴィジョンの設定

⑥損益分岐点分析からの必要医業収益の決定

⑦課題の整理及び戦略明確化

⑧事業計画立案
   
⑨経営方針の立案

⑩評価制度見直し

⑪処遇見直し

(2)DPCへの適用
①DPC5段階プロセスの理解
  
②DPC5段階プロセスの実施
 ⅰ)DPCと出来高比較及びベンチマーク
 ⅱ)医療区分Ⅱの意識及び増患対策、実施必要事項チェック
 ⅲ)病院原価計算導入
 ⅳ)診療政策の検討
 ⅴ)アローアンスの決定及び投資への転換
   
(3)目標管理制度導入及び運用
①経営方針の各部署への落とし込み
   
②目標管理制度の導入(部署レベル)
   
③指標管理分析

④委員会及び会議体の整理
   
⑤会議体の合理的運営
 
(4)医療ツールの活用
①教育システム構築
 ⅰ)経営幹部に対する継続的戦略学習
 ⅱ)中間管理職教育(リーダーシップ研修を含む)
 ⅲ)職場内教育システム導入
 ⅳ)集合教育システム導入

②マニュアル(ナレッジマネジメントツール)の整備・及び運用

③クリティカルパスの評価及び整備・適用

④リスクマネジメントの徹底
   
⑤退院支援システム

⑥連携システム   
  
(5)管理会計導入及び運用
①会計制度整備
   
②部門別損益計算の導入及び運用
   
③指標管理システム導入
   
④患者別疾病別原価計算の導入
 
 人が、病院が行おうとしている医療を支える技術をもっているのか、そして持てる力を発揮できるよう病院が彼らを支えるマネジメントを行っているのかにより、医療の成果が異なることを多くの国民が知る必要があります。

 マネジメントが脆弱なことにより、医療が崩壊していることが多くあることを忘れてはなりません。
あるべきマネジメントの導入が必要です。