よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

よい病院(11)看護師さんの意識改革

先日、心臓手術では有名な病院の院長とお話をさせていただく機会がありました。

院長は、看護師に主体性がない。いわれたことでもやらない。というお話をかわきりに、発想力がないことでの術場のインシデントの事例をあげ、ことこまかに手順を検証するが、ポイントをきちっと抑えていない対策となっているため、焦点がぼけること、また、会議で説明したことが末端までとどいていないことをあげて、徹底して仕事をしようという意識がないことについてご説明いただきました。

この病院は、もともと地域でも有名であり、良い医師が数多くいらっしゃるため、職員はプライドをもって仕事をしているという背景がある、その結果、これでもかこれでもかという積極的な改革を行なう誘因がないことが懸命さを引き出せない理由ではないかという仮説を説明しました。

やるべき処理は行なっているのにもかかわらず、気が入っていないため、結局はそれが活かされていないということが結論であり、そのためにも、幹部に面談を行い、現状実施している目標管理制度の進捗状況をチェックするとともに、本来実施しなければならないことが実際にできているのかどうか、できていないのであれば、どのようにやっていくのかについてのアドバイスを行なうことになりました。

院長は、折に触れ看護師さんに注意をされているそうです。患者さんはその行為をどう受け止めるのか、患者さんはそれをどう思うのかと、常に考えるよう指導されているとのことですが、医療従事者には感受性が必要である、感受性をもって仕事をしていけば、そこで感性が養われ、本当の医療ができるという話をされていました。

成功する方々はみな、どの業界でも感受性があると考えます。相手の立場にたつ、相手と同じ意識をもつためには、相手と同じ気持ちにならなければならない。同じ気持ちになれば、マーケットが理解できたり、ニーズが把握できるということをお話しました。
病院においては、一般の企業よりも、一層感受性が求められていることは明らかです。

患者さんの立場に立つ、患者さんの気持ちになり、行動することが必要であり、そのためには、感受性が必要であるのに、感受性がないために仕事はこなすが、仕事の目的はなんであるのかを忘れてしまう。

結局、これをしなければならないという思いが生まれない、したがって積極的な主体的活動が行なわれない、いわれたことだけやればよい、いわれたこともやらない、という状況が生まれているのだという結論になりました。

明確なビジョンと方針、目標管理の目的や主体的に行動し、患者さんに喜んでいただくためになにをしたらよいのか、といったことを徹底することが必要であると合意することができました。

〔ドクタートレジャーボックス「医療と健全経営」同時掲載〕