よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

患者さんからみた病院と病院からみた患者さん(2)

病院で事務長と増患の話をしてきました。
いま病院は受診抑制で患者さんが減っている病院が多いです。
いままでなんとはなく病院にいっていた患者さんの自己負担が増えたため、そして長期にお薬を出すことができるようになったため、来院患者さんが減っています。病院からみた患者さんは、医業収益のもとです。患者数×単価=医業収益ですから。


もちろん誤解のないように説明すれば、これは経営サイドの問題であって、現場はまず患者さんそのものを個の人間としてみています。


自らの役割をどう果たせるのかについて本当に真剣にその場で判断し、考え、あるいは慣性で仕事をするにしても、その根底には医療看護そのものがあることは間違いありません。コストのことを考えられるのは、もう少し落ち着いて患者さんをみるときです。

病院では、経営会議で収益や利益のことが、毎月の管理者会議や幹部会議で月次の予算達成ができたかどうかが議論されます。理事会も何回か出た経験がありますが、なぜ、この利益なのか、他の病院と比較して注射が少ない、手術が多い、点数は若干高い、患者数が逓増状況である、MRIの点数が下がったのはいたかった、といった話題や、うちでは医局を他の部署と同じ位置に組織図上配置しています。

医師会との連携によって、市立病院では当院の標榜科目をもたないよう働きかけ…(市の医師会長)、とかなんとか経営のことが多く語られ、患者さんはこの文脈では顧客であり、数や単価が重要な指標となります。病院のマネジメントからみれば患者さんは数字の対象となります。資本主義社会であるかぎり、当たり前のことです。

これができないために、病院の経営が不安定になり、医師や職員が力を十二分に発揮できる組織運営ができず患者さんに影響を与えるのです。