よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

事業計画立案について(1)

厳しいですね。今回の改正で、療養型は患者さんの半分程度について点数が下がった病院もありますし、また看護師さんの基準が変わったことによる、また一般での72時間の夜勤の限度があることによる看護師さん不足が大変なことになっていると聞きます。今こそ、コアコンピタンスと呼ばれる自院の強みをつくり、それらを活かす戦略を構築することが必要です。

 事業計画立案を正しく行なうことが求められています。

 事業計画立案のためには、必要キャッシュフローの計算からはじめることが必要です。来期の投資計画や借入金返済の原資を確保するために、いくらのキャッシュフローが必要であるのか、そのためには、いくらの利益が必要であるのか、そのためにはいくらの医業収益が必要であるのか、それらは部門毎に分担するとどのようになるのか(部門別損益計算を一定期間実施し、月次での傾向をもっている必要があります)、そのためには、患者数一定とするといくらの日当点のアップが必要であるのか、あるいは患者数を伸ばすのであれば、日当点が同一であればいくら患者数が必要であるのかについて検討します(ふ~。息も継がず説明しました)。

 本当の意味で事業計画を立てていかなければ、成り行き管理のなかで期待通りの病院収益をあげていくことはとても困難です。明確な方針と戦略をベースとしたPDCAサイクルをまわしていくための活動に軸足を移す必要があります。

 簡単なこの方法(実際にやってみると大変ですが)について、意外と実行していない病院が多いようです。とりわけ専門の経営企画等の部隊をもっていない病院であっても、この程度であれば、取り組めることであると考えます。個々の構成要素についてひとつひとつチェックシートを作成し、それらをつぶすことによって、対応します。

 なお、中期経営計画を立案している病院では、上記に中期経営計画の当年度分としての事業計画がブレイクされることになりますが、今回の改正にあるように中期経営計画に沿うということはとても難しいことになりつつあり、結局は中期での目標は大きな枠組みのなかでの目標となることが多いようです。

何れにしても、目標数値を考慮することはとても重要であり、当初予定していたあるいは想定していた方法ではないものを年度毎に決定していかなければならないでしょう(続く)。