よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

パスとマニュアル(4)

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そもそもゴールを設定してパスの毎日が完了する。ゴールを達成しなければパスは次の日に進めない。
バリアンスになっていまいます。

 ゴール=アウトカムをどのように達成させていくのか、そのためにはどのような治療をするのかがパスですが、アウトカムがいつ達成されたのかのデータをとり、それをできるだけ早期に達成させるようにすることがアウトカムマネジメントの基本であると思います。そのためにはアウトカムは定量化されていなければなりません。比較可能性をもたせるためにです。

Aさんの場合に、ここまでくるのに何日だったけれども、Bさんの場合には何日であった。ただし、Bさんの場合にはこうしたバリアンスがあったため、達成が遅れた。本当であればこの日である。といったことがデータとして蓄積されなければなりません。そのことによって、であれば、パスは何日にしよう、ということが決定され、平均在院日数が短縮されます(ここでは、例えば合併症によりパスからはずれ、また復活したなどのイレギュラーなCさんやDさんのデータは異常値として排除されます)。
 
上記を達成するためには、アウトカムは定量化されたクリティカルインディケータとして利用される必要があります。

治療に重要な影響を及ぼす指標をインディケータとして表にだしていく必要があるわけです。そして、そのインディケータを早期に達成するためにどうすればよいのかという業務改革や新しい取り組みを行うことで、ある瞬間正のバリアンスが発生します。

バリアンスマネジメントはアウトカムを早期に達成していくための前提のマネジメントということになります。

正のバリアンスがなぜ発生したのか、それは仕組みやスタッフのスキル、そして何よりも新しい取り組みをしたからだということであれば、それをパスに織り込むことによって二次パスが作成され、正のバリアンスを解消する過程で、新しいアウトカムが設定され、新しいアウトカムを達成するために二次パスによる活動を開始することになります。

正のバリアンスを生むことができるよう、活動するなかで、CI(クリティカルインディケータ)、そして統計を利用する。さらには業務改革や新しい治療の取り組みを行うためにアウトカムをマネジメントする。その活動が一次パスを二次パスへ変化させていくことにつながります。

アウトカムを達成する、常に早期に達成できるように活動する、といったことが常態となるよう仕事を組み立てていく必要があります。業務改革やEBM,EBN、さらには総力をあげたチーム総体での活動が必要となります。

高密度で質の高い、合理的な医療を行うために、医療の質をあげ結果として効率をあげるもっとも重要な道具の一つとしてパスが必要です。さらに四位一体(よんみいったい=マニュアルを中心としてパスやリスクマネジメント、教育システムはすべて一体となって利用される必要があるというコンセプト)をベースとして活動を進めていくことが求められています。
パス委員会の皆さん。頑張りましょう。