よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

DPC準備委員会の組成と運営(2)

福島の病院でこの資料を学習したうえで、準備委員会がスタートしました。

1.はじめに
 DPC関連の病院のベッド数は、手上げしている病院を含め29万床になりました。
これは残る40万床の病院の三分の二以上の病院です。実際に40万床に入るため、多くの病院が手上げのための準備を開始しています。とりわけ今年の6月で(毎年いわれていますが)、最後の手上げではないかという憶測がとび、みな6月の手上げに向けた委員会を組成しています。

 病院としてどのように対応するのか、無視するのか、様子をみるのか、準備を開始するのかについては真剣に議論しなければなりません。少なくともいつでもDPC導入ができる体制をどのようにとっていくのかについていまのうちに検討しておかなければ、臍(ほぞ)をかむことになります。
 何をすればよいのかについて議論をしなければなりません。

2.DPC導入の具体的対応
 DPC導入については、DPCによる申請が正しく行えるようになるための医事課や医局対応が行なわれるとともに、実質的にどのように成果をあげていくのかが求められます。
その意味では従来実施してきた経営改革委員会の活動をより鮮明にしていく必要があります。
一方部門別損益計算や患者別疾病別原価計算の結果をどのように戦略に反映していくのかといった経営企画の部分の強化を徹底していく必要があります。
 ①自院の収益構造を理解する
 部門別損益計算により、科別の利益を把握します。予算編成が部門別にできるように誘導し、どのように利益改善していくのかについて検討を開始します。
 ②利益をあげるために何をしなければならないのかについて分析する
 ⅰ)単価をどうアップさせるのか
 ⅱ)患者数をどう増加させるのか
  結局は外来患者を増加させる、紹介入院患者を増患するといったことにつきます。
  手術の技術料についてはDPC埒外であるので、手術を行える体制を整備すればするだけ、収益は 向上するのは明らかです。過去のデータと現在のデータをすべて並べて実際の課題を明確にしていくことが必要です。
 ③自院の費用構造を把握する
 ⅰ)パスを徹底して作成する
 ⅱ)パスに記載されていないコスト項目を抽出しリスト化する
 ⅲ)患者別疾病別原価計算により疾病毎の原価計算
 ⅳ)原価要素を分析し、原価要素別の問題点を把握
 ④費用を削減するために何をしなければならないのかについて分析する
 ⑤費用の削減は個々人の医療の質を向上させることや、仕事の仕組みを見直すことで達成されます。
そのためには何をしなければならないのかについて経営改革委員会で実施してきたことを徹底することが大切になります(続く)。


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