よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

どこまでやるの病院原価計算(3)

SPDを入れている病院があります。現場の在庫を一元管理し、タイムリーなデリバリーをしてもらえることや、購入コストを引き下げるということでメリットがあるといわれています。しかし、現場においては看護師さんが例えば余分な在庫を病棟にもつなどして、SPDのメリットがとれないことがよくあります。心配だから注射器を3本余分に置いておこう、これも1箱とって置こうということがあるようです。

 これは看護師さんにコスト意識がないだけではなく、院内在庫がどれだけあるのかについての管理がシステム化されていないことに原因があります。しかし、院内のこうした私(わたくし)在庫をすべて管理することは不可能です。煩雑です。そこで、部門別損益計算を実施します。病棟別の損益がバッチリでてきます。

 たくさんの消耗品を消費しているところはコストが高くでてくるため、どこのコストを削減すればよいのかを考えるとき、間違いなく、職員の行動チェックが行われ、結果としてロスを無くす、院内在庫をつくらない、といったことに注意が向きます。無駄な使い方をしないためには、こういう動作をしようというノウハウの整理にもつなげることができます。
 
 部門別損益計算があることにより、SPDが本来もっている、あるいは想定していたメリットが享受できることになります。なお、SPDは確かに、SPC業者が共通在庫をもち、他の病院にも材料等を供給することができる場合には、単価を引き下げることができます。しかし、その半分はSPD業者の取り分ですが…。ただ、メーカーに交渉しなければならないような例えばインプラントなど、高額なものはSPD業者の努力ではなく当該病院の医師の力であったりするわけですが、そうしたものまで、半分は業者の取り分になります。
 なんか腑に落ちないものはあります。

 何れにしても部門別損益計算を行うということは、他のあらゆるコストリダクション(原価低減)に影響を与えることになります(続く)。


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