よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

人と会議の成果をあげるための手法

1.はじめに
 組織にはたくさんの人がいますが、彼らが組織のなかで、十分に成果をあげているかどうかについては検証されていないことがあります。

 仕事をしているようではあるけれども、何をしているのかが判らない。仕事量が妥当であるのかどうかがわからないといったことがあります。したがってある者は物理的にたくさんの仕事を抱え、ある者は実は実質的にはそれほど仕事を抱えていないということが往々にしてあります。

 以下、重要な経営資源である人をどのようにうまく活用すればよいのかについてご説明します。

2.内容
 (1)シート利用
 経営資源としての人が最大限成果をあげるためには、人ごとの仕事量を測定する必要があります。人ごとの仕事量を測定するためには、業務分析を行う必要があります。

 簡単にはどのような仕事をしているのか、それはどのくらいの時間がかかるのかといったことをヒヤリングする(あるいは紙に記載してもらう)ことになります。
①どのような仕事をしていますか
②それはどの程度の時間を要しますか
ということを聞くためのシートを利用して下さい。

 (2)業務日報
 日々の業務日報をつけるようにしてもらい、それらの内容を分析することで、対象者の仕事の内容と時間を測定することになります。
(1)で仕事の棚卸しをして、その後、日々の業務日報をみることで、仕事内容や仕事量が妥当であるかどうかを検証します。
 業務日報を1ヶ月程度毎日作成することができれば、対象者の仕事内容は大抵把握することができるようになります。

 といったことを先日病院で説明しました。

 この説明はまだまだ続きますが、何れにしても経済成長がほとんどないといわれている日本において、さらに厳しい医療制度改革があるなかで、勝ち残る必要がある病院は、明らかに生産性をあげる必要があります。

 であるとすれば、一人ひとりの仕事を見直し、まず本人が自分の時間を大切にした生き方をできるように誘導するのが組織であると考えます。

 具体的な手法を導入し、どのようにしたら最も重要な経営資源である人を活かすことができるのか、真剣に考えるときが来ています。

 これは組織普遍的な問題であり、多くの病院が取り組むべき課題であるにも関わらずほとんど手がつけらえていない部分であると考えます。とりわけ事務方がきちっと仕事を整理し、統一、整理、廃止を行なうことで、時間を捻出し、組織全体が化学的に動くことができるよう、現場のサポートをしていく必要があります。

 ある大好きな看護部長がこういいました。いまの多くの委員会は指揮命令系統を無視して決定し、組織に指示を出しています。それらが無秩序に組織に降りてきて、現場はその都度委員会の決定事項だからと動く。

 しかし、それが委員会毎に連携もとれおらず、整合性や首尾一貫性がないなかで動くものだから、それぞれのシナジーが生まれず、個々の目的だけを達成することに汲々としてしまう。

 さらに、まだ決定事項が組織に降りてくればよいほうで、何を議論しているのかすら見えてこない。そして何も決まらず委員会がながなが時間をつかい、それが仕事と誤解され、看護部のベッドサイドの時間を浪費する。
 これでよいのでしょうか?

 我々もそう考えていた事項、改革しようとしていたことが看護部長からあがってきたことはいままであまりありませんでした。胸が打ち震えるほど感動した記憶があります。

 会議は決定会議以外は開かない。会議の準備と議長のコントロール、そして決定、決定事項の次回までの徹底を決定し、経営改革委員会の決裁をもって、組織に落とす。こんなながれをもつ委員会活動を行う病院となるべく活動を開始したのでした。


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