よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

院長に対して行われるブリーフィング(短期の報告)について

 ブリーフィングというコンサルティングを最近は多くの病院で行っています。これは短期の報告といった意味ですが、院長と医師のコミュニケーションをどうとるのかといった部分で機能する企画です。ここ
 実際に一般の企業では、事業部や部署の責任者が社長に報告を行うときに使われる概念ですが、病院においてはどちらかというと話し合いの場的な意味あいが強くでています。


 13年間の間急性期やケアミックスの病院でコンサルティングを行ってきましたが、経営のなかにはいればはいるだけ、院長と医師のコミュニケーションがとれていない病院が多いことに気がつきます。それだけでなく、同じ診療科においても上司と部下のコミュニケーションができていない、あるいは診療科長あるいは診療部長というところもありますが、実際に彼らのコミュニケートもできていないということが多くあります。

 こうした病院は、間違いなく医師が力を発揮でいていません。上司が患者をもたない分、部下が多くの患者をもって疲弊しているけれども、病院は結果として見て見ぬふりをしていたり、また、上司が診ているのに部下が患者さんをもたないことに対して、院長が介入しないということが多くあります。

 ひとつは病院の成果をあげていない(病院が本来もてる機能を果たしていない)ことに対する危機感がトップにない病院。とりわけ公的病院がこれに該当することが多いようです。もうひとつはあまりごちゃごちゃ言うとドクターがやめてしまうからという理由により、指導にネガティブになっているケースがあります。

 これとは別にオーナー系の病院では、たとえばある病院は、3か月以内に患者さんを10人持たなければ若いドクターが疲れて辞めてしまう。できなければ給与半分!といいはなった理事長がいたり、自院に入院させ手術をして失敗した経験をもつ整形外科医はネガティブになり、外来で他病院への紹介状を出しまくっていた医師を食道まで追いかけていき、やめろ!とどなった院長。

 さらには、内科の部長が患者を持ちすぎて倒れそうになっているのをみかねて、若い医師に、いますぐ辞めろと勇気を振り絞って叫んだ理事長などがいらっしゃいます。
 
 また、ある有名な病院の院長は、もう辞めてもいいと思って問題を指摘し、改善を促した。そうしたら医師は大きく変化して医療が変わったというエピソードもあります。


 ある院長は、話してみたらいろいろなことがわかった。ある先生は、自分が診療した結果を数字で出してほしいと言ったのにずっと出してもくれなかった。達成感を得ることができなかったと退職する前に話をしてくれたことに自分が過去いかに医師と話をしていなかったかがわかったと述懐していました。

 また、社宅が管理されていないので、その話を他の医師皆にして病院の評判を落としてしまったと懺悔した先生がいたなどがわかり、ただちに対処したという院長もいらっしゃいます。


 (1)まずはなんでも話会える場をつくる
 (2)経営方針を出すだけではなく、各医師の役割を話し合う
 (3)定性的ではなく定量的なデータをみて、医師が何をこの病院でしていきたいのかについて話を聞    く
 (4)目標をもって成果をあげることができるよう、医師にリーダーとしての自覚をもってもらえるよ
    う説明する
 (5)頑張ったら頑張っただけの報酬を提供するシステムをつくる(インセンティブ制度)
 (6)診療科ごとの比較をしたり、業績を第一に考えるということをしないこと
  などなど、数多くの留意点をもちながら、医師とミーティングをしてくことになります。横には事務長がいて、医師が働きやすい環境をどのようにすればつくりあげることができるのかについて十分に議論する材料を提供することになります(続く)。

 
「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」