よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

昭和銀座ジオラマと現実

 

     イメージ 1

イメージ 2

銀座の昔をそのままコンパクトにしたジオラマが有名です。博品館でも販売していますが、つくったのは株式会社バンダイということがわかりました。めちゃめちゃ楽しいです。

 

銀座の和光がそのままジオラマにも描かれていますが、このジオラマを見ていると時間を忘れてしまいそうです。

 

何かをみて何かをイメージする。あるいは想起するということは人間の特性でしょうか。例えばおそばを食べると母が打ってくれた田舎そばを思い出すとか、白い雲をみると随分昔に丘の草の上に寝転がり空を眺めた季節を思いだすとか、ゆでたてのトウモロコシの匂いをかぐと、小学校のころ田舎の畑からとりたてのトウモロコシを祖母がゆでてくれたことが目に浮かぶとかといったことです。

 

何かを見たときに思い出すものがどれだけあるのかということを考えます。

 

残念ながら、今の自分にそうした過去を反芻するきっかけとなるものがありません。とても悲しいことです。無理やり思い出せば幼児期のことや小学校のこと。そして中学校のことや高校生のころ。大学に入学したことや社会人になるまでの人生や、社会にでてからのすべてをある程度は思い出すことができます。

 

しかし、何かをきっかけにして過去を思い出す、懐かしく思うということが徐々になくなっている気がします。人間は時間をながれており、昔は今ではなく、今は未来でもない。いつも新しい時間を生きていて留まろうとしても、留まることができない環境に置かれているからです。

 

人は、いつも何かを忘れ、何かを覚え、集積し、しかし忘れたもののほうがその何倍も大きく、また忘れなければ辛いこともたくさんあり、また楽しいことに浸っていても次に進めないという動物なのかと思います。

 

結局は、未来を夢見てということはあるとしても、生きるのに懸命になると、それすらも非現実的なものになり、過去からも見放され、そして未来も離れていく。とても悲しいことですね。

 

昔、戦略講座に参加したとき、「一日一驚ということを励行しろ」といわれたことがあります。毎日何かに感動する。声に出して言う。あ~なんて今日は良い天気なんだろう~的なことです。こういうことを繰り返すことで、物事を繊細に捉えることができるようになる、思いをもって接することができる訓練であり、感性の豊かな自分を作り出すことができる、というものでした。

 

今から考えると、確かに意味がありますね。

 

しかし、もっと大切なことは、自分が強くなり目的に向って努力を積み重ね、触れ合うものへの執着や思いを強くしていくことだと考えています。

 

やりたい、という強い思いが足りなければ時間は緩慢になるし弛緩します。期日を決めたなかで自分に何ができるのかを真剣に考え、限られた時間のなかで成果をあげようと行動しなければなりません。そのことが人を成長させるし、多くのものに感動し、また感動を与えることができると考えているのです。

 

昭和の銀座に親しみのない私にとり、ジオラマは過去を思い出すというよりも、その精巧さや楽しさにひかれているのであって、過去の銀座への哀愁の中にジオラマを置いていたわけではありません。

 

しかし、この件を通じて、自分の思いを強くもち執着することで、何かに触れて何かを思い出したり、何かをみて未来を考えられる自分をつくりあげてみたいと思えたのは良かったです。

 

流されるのではなく、主体的に何かを思い、そしてその意識のもとで自分を鍛えていく。そして、人生の達成感を得るために「過去を糧に今をつくり、未来を引き寄せられるよう」取り組んでいきたいと考えています。