よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

病院審査基準説明(3)

5.判断
(1)新患が低減する傾向にある
 診療報酬が引き下げられているため、どの病院も増患をする必要があります。

 増患の基本は新患が来院することです。新患数がどのように変化しているのかについて傾向をみることによって、その病院が総合的な努力を行なっているのかどうかが判ります。まずは(外来)新患数の傾向をチェックすることが必要です。


(2)外来患者数が低減する傾向にある
 新患は増加しているが、外来患者数全体が低減していることがあります。これは再診の患者が減少していることを意味しています。

 再診の患者が減少する理由として、
①逆紹介をする
②人気がないため再診患者として来院しない
といった二つのパターンがあります。

①であれば、よいのですが、②の場合には致命的です。ながく続かないまでも、最悪の病院として残るためには、再診患者をながく引き止めておくことが、病院経営において最後に行なうべきことであるからです。


(3)外来単価(外来日当点)が低減する傾向にある
 外来単価が低減することは、再診患者が多く、かつ安定して検査や撮影が必要のない患者が多いということを意味しています。

したがって、外来単価が低減するきざしがあることは、その後の収益に大きくマイナスとして影響を及ぼすことになります。患者の構造が変化することによって外来単価は低減する傾向となります。

 
(4)病床利用率が低減する(入院患者が低減する)傾向にある
 病床利用率が低減する理由は、
①入院の必要がない患者が多い
②紹介患者が少ない
という二つに集約されます。

 ①外来患者は、安定的な本来は診療所に逆紹介を行う患者であり、入院の必要のない患者が多くいる場合には、外来からの入院比率が低減し、全体としての入院患者も少なくなります。

②紹介による入院患者も低減していることを意味しており、病床利用率が低減することは致命的な収益マイナス要因となります。

 なお、病床利用率は平均在院日数とパラレルに(並行して)見ることが必要です。
 すなわち、利用率があがっているけれども平均在院日数もあがっているのでは、患者が滞留していることを意味しており、問題です。
 利用率があがっているけれども、平均在院日数が短縮されていることが、患者がながれている、すなわち多くの患者がベッドを通過していることを表しています(続く)。