よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

業務改善提案はクリエイティビティの原点だ

私のクライアントの病院では業務改善提案制度の導入が盛んです。方向を示し、方法を教育し、評価し、報償する(提案サイクル)ことで職員一人ひとりの創造性や工夫を喚起、提案を受けるものです。
 
 医療機関では従来から、提案箱といったかたちでの提案を採用しているところがありますが、なんのために行うのか(なぜ自分が提案するのか)、どのようにおこなうのか、提案した後、しっかりとチェックをしてフィードバックをしてくれるのか、そして結果に対ししっかりと報償してくれるのかといったことからすると、提案箱方式は、まったく提案が活性化する条件を満たしていないことが判ります。
 
 まず、提案させても評価もしない、反応なし、なしのつぶて、といったことが多くあるため、職員はやる気をなくし、何も提案しなくなることが通常です。しかし、ここで説明するような提案制度を導入すると、驚くことにあっという間にたくさんの提案が集まります。彼らは考えることを停止しているのではなく、提案するのをやめているだけであるということがよくわかります。
 
 しかし、しっかりと彼らの考えをどこかで吸い上げていくラインがなければ、彼らは考えることすらやめてしまうことになります。現場情報を吸い上げ、彼らの意見をもちろんすべてマネジメントに活かすのではなく、しかし、貴重な情報として収集して整理し、課題を発見しつつグルーピング化し、問題解決に活かすといったことを行っている病院は成果をあげている病院です。
 
 改善提案制度はそうした組織の経営資源、すなわち人、情報、時間、モノ、カネといったアイテムを活性化するためのとてもシンプルで成果のあがるツールであることが理解されなければなりません。

ラインで仕組みや文化ができていない場合には、そうしたかたちを導入し、まずはしっかりと運営します。提案を通じて実績をつくり、考えることや提案することが創造や工夫を表現する方法であり、それは必ず自分や病院、そしてひいては患者のために貢献することだということを知らしめていく必要があります(病院側もできるだけ早期に病院改革=仕組みの組成、文化の醸成、を行う必要があります)。/div>
 
 なお、提案は1ヶ月1回の提出が義務となっており、各職員は日頃から改善への意識を高めていなければなりません。組織の働きかけにより、常に見る、常に疑問に思う、もっとうまく、もっとはやく、もっと安く(合理的に)(うまい、はやい、やすい=吉野家モデル)というながれが職員の意識のなかにできあがります。
 
 あるべき改善提案制度の導入については、さらに重要ないくつかのノウハウが必要ではありますが、不平不満、個人的な誹謗や中傷、そして実現不可能な願望や要望といったことは提案禁止というルールです。どのように現状をみて、どう着眼し、どのように提案するのかをも教育したうえで、改善提案制度は成果をあげます。 多様な関連からの提案があり、病院運営にとても貢献することが分ります。
 
 通常は、内容の良し悪しにより、ポイントを付与し報償の基礎とします。年間を通じて優秀提供した個人やチームに表彰をする病院もあります。ただ、まんべんなく真面目に情報提供、そして実際に地道な改善を行った者にたいしても何らかのかたちで(金銭、非金銭での)報償を行うことを忘れてはなりません。

なお、多くの病院で、電子カルテDPC導入、病院機能評価、職能等級制度導入、施設基準の取得、病床転換、業態転換、介護事業参入、病院建て替え等々経営改革やイベントが行われることがよくあります。
しかし大抵、これらは一部のメンバーで、ことが完結されてしまいます。

新人からベテランまで、職種に係わらず全員参加による改革を推進するために、業務改善提案制度を活用する病院が増加しています。

誰でも参加しなければならない制度としてとても有効なものであると思います。

このような方法により組織活性化を図ることが人を育て組織を盤石なものとし、益々混迷する時代において、成長を促す仕組みのひとつになると考えています。多くの組織で改善提案が採用されることを期待しています。