クレームを根絶するためには、まずは、すべてのクレームを掌握することが大切です。
一般的に、投書箱やアンケート、直接文句を聴くことによりクレームを集計しますが、実はクレームとして顕在化しないクレームが何倍もあります。
医療機関には、体調が悪い、気分が滅入っている患者が来院します。普段ならあまり気にならないことでも気になる状態に置かれています。
個人の性格にも依存しますが、周りに敏感になる患者が気分を害するのはよくわかります。
待ち時間や、座る場所のあるナシや、待合室への呼び込み方や順番をめぐり、話し方や対応、すべてに対し気に食わなければ、表情や態度に表すのです。ただ、
顕在クレームのみならず、潜在クレームを徹底的に収集し、解決する方法を考えなければなりません。
まずは、表に現れたものであれ潜在であれ、クレームはその場で解消する必要があります。
予めケースや重要度に応じて決めたルールに従い適切な処理を行うのです。
ただ、潜在クレームは紙や口頭では表現されないので発見が困難です。
なので、常に周りを観察し、クレームを言われなくとも、嫌な顔をしていたり、何もいわずに怒っているような患者を見つけたときには、直ちに声かけて話を聴き、問題を解決する必要があります。
本人が大丈夫と言ったとしても、その時の状況を潜在クレームとして捉え、メモ書きに残さなければなりません。
なぜそうなったかの分析を瞬時に行いながら仮説を立て、解決の方向に向けて組織的な対応をしていくのです。
露見しない潜在クレームが多ければ、気付かぬうちに自然に評判は悪くなり、今後の運営の大きな障害になるのは明らかです。
職員は一人残らずポケットにフォームが印刷されたメモ用紙を忍ばせておき、顕在化したものでも潜在クレームでも、クレームがあった(若しくはクレームの事由が想定される)ときには、内容、理由、コメントを簡単に記載します。
よく発生するクレームについては予め、待ち時間、順番、呼び込み、説明不足といった項目を印刷しておき、○をつけられる方法にすれば早く処理できます。
コメント覧に簡単な状況を書き、自分の客観的な意見を沿えればより分析が容易です。
1件当たり30秒でも記載できますので、昼休みや休憩時間、ちょっとしたミーティングの合間に5分の時間をとれば、毎日のクレームを網羅的に収集できるでしょう。
職場にクレーム箱を用意してメモを投げ込んでおけば、容易に集計でき便利です。
スラック(Slack=コミュニケーションツール)や他のソフトを使うことで簡便にデータ収集を行うことも有効です。
システムの未成熟、組織対応の不行き届き、個人的な不注意・技術不足、個人の不適切な性格でクレームは発生します。
集めたクレームがどの理由によるのかを区分し、それぞれ、システム導入や改善、組織での業務改革による仕事の見直し、個人の教育に結びつけることになります。
なお、患者が不満を表す前に、ラウンドを行い状況を把握した上で、クレームになるだろうと想定した状況に事前に対処することが本来のあり方ですね。
上記の考え方はどの業種にも該当します。商品やサービスのプロモーションをうまく行えば一時的な売上は上がりますが、質が良くなければ継続できません。
最終的には、
1.思いをもった従業員一人ひとりが、
2.改善を重ね力をつけて、
3.持ち場、持ち場で顧客の立場に立ち、
4.行うべきことを迅速、かつ的確に行うこと
なより仕事の質を高め、クレームを撲滅させることができます。
価値創造を恒常的に行うとともに、標準化や業務改善を体系化し教育を徹底するなど、顧客の動向やニーズに適時に応える仕組みを作れる組織しか残れない、厳しい時代になったいま、ここでいう対応は必須です。
皆が相手を思い、何が最適なのかを常に考え行動する管理職や従業員の育成が望まれます。