よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

病院トップマネジメントの実施事項(2)

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14.カルテ、諸記録点検

診療録管理やその他記録についてこれを管理することは、自院でどのような医療が行われたのか、管理されていたのかということを知るための重要な情報であると考えています。したがって、これらが適切に作成され、利用され、管理されているかどうかを掌握し、問題があれば意見を言うという活動が必要です。

 

15.リスク対応

事故を事故と認識し、それをどのように解決していくのかについて全体把握をしておく必要があります。事後類型化し、対策を立案し、具体化させ、そして徹底して組織に展開していくことが求められています。病院を代表してリスクへの対応を行う担当者が必要となります。

 

16.リスク報告、対策

日常からリスクが発生しないよう管理を行うとともに、リスクが発生したのちはただちにそれらに迅速に対応することが求められます。アクシデントが発生したときに、それらを一括管理し、また対策を立案し、指示を出したうえで、その解決を図る担当が必要です。

 

17.苦情対応

さまざまなクレームや苦情があるときに、情報を収集し、それらへの解決を指示する担当者が必要です。また、さらに日常潜在クレームを発見し、クレームが発現する前にそれらを解消することが求められています。クレームが発生した部署と事務部がそれらに対処するとしても、全体を管理する担当を置かなければなりません。

 

18.苦情報告、対策

苦情の報告を受け、最終的に対策をとる必要があります。個々のクレームに対応するだけではなく、組織全体としてそれらへの対策をどのようにとっていくのか、システム化していくこともこの領域の業務です。

 

19.医療安全統括 

医療安全統括は、医療安全対策委員会が日常活動を行うなか、当該委員会の活動を側面から支援し、場合によれば活動に対し意見をいいつつ問題を発生させない、発生した問題は解決するといった対応を行う必要があります。医療安全にかかわるすべての事項については医療安全統括により俯瞰的に統括管理されることになります。

 

20.非常事態発生時の対応

人災、天災を含め、あらゆる非常事態に対し、対策本部を設置し、緊急対策をとる責任者が必要です。緊急時の連絡網の整備や災害対策委員会設置のシステムが既にあるとしても、それらを管理統括する機能をもちます。

 

21.事故発生時の報告

事故発生時にすべての情報を収集し、内容を峻別し、また分類し、カテゴリーに区分したうえで、全体として対処する必要があります。これらの指揮をとり、円滑に目的を達成することができるよう管理していかなければなりません。そのための担当が設置されることが有効です。

 

22.感染管理統括

感染対策についてすべての活動を設計し、指導し、成果をあげる機能がもとめられています。感染対策委員会の活動を側面から支援し、また指導する機能をもった対応を行う必要があります。

 

23.衛生管理(健康管理)

職員の衛生管理や健康管理を行う機能が必要です。清潔不潔についての掌握及び問題解決だけではなく、職員の健康管理を行うことにより、日常的に感染管理や機能強化を行う必要があります。

 

24.機器・備品の整備・整理

医療機器や現場で行うべき管理の全体統括する必要があります。組織において必要とされる機器や備品について全体的把握を行うとともに、それらの整備について積極的に各担当部署に働きかけ、病院が必要な機能を充足するよう促すことについても当該機能の領域に含めて管理することになります。

 

25.機器・備品の修繕・修理

組織に存在する、機器や備品の修理や整備についてこれを全体として管理し、必要十分な管理ができているかどうかについて統括管理する必要があります。

 

26.薬剤医材の保存管理

医材の適性在庫、また医材の適正数について常にこれを管理し、それらを達成するためのシステムやルールを設定し、現場が必要な薬剤、医材をタイムリーに調達できるよう支援します。そのための情報収集、支援、指導を行うことが必要です。統括管理するための責任者を配置し、成果をもとめます。

 

最も重要な業績目標達成責任を含め、トップマネジメントが取り組むマネジメントについて説明しました。これらは具体的な実務を伴うので多忙な場合、適時に権限移譲を行い、報告権限を行使することにより責任を果たすこともあります。しかし、1から26はどれも組織運営において必要な事項であり、すべての責任を放棄してよいものではありません。何のたまめに行うのかということについてしっかりと納得したうえで、重要度に応じできる範囲で深く関与する必要があると考えています。

 

他の事業においても、業種による特性はありながら類似の事項があります。自社のマネジメントのうち、トップマネジメントが関与しなければならない領域を明確にした行動を行う必要があります。