よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

よい病院よくない病院の見分け方の意味

 よい病院よくない病院の見分け方というブログは、どちらかというと患者さんのためだけにあるブログのようですね。最終的には患者さんのためになるブログです。しかし、まずは医療従事者がおもいっきり自分の思いで医療活動ができる病院であれば、結局は患者さんにとってよい病院であり、そうでなければよくない病院である、ということが背景にあります。
 
 よい病院は、医療従事者が、使命感に裏付けられたプライドと慈悲心に基づく医療ができる環境をつくりあげる病院である、ということができます。
 よい病院はどのようにつくられるのか。良心だけで医療を続けていけるケースもあります。良心をもった者が最善をつくした病院経営を行なうなかで、自然にマネジメントもうまくできているケースです。
 しかし、多くは、実際には良心をもったうえに、どうしても質の高い合理的な医療をつくりあげるマネジメントがなければ、あるべき姿を追求できないのです。
 病院のためのマネジメントが必要な理由です。
 
 よい医療を行なうためには、よい経営が必要だ、ということです。
 例えば、よい医師、よいスタッフがいる病院であっても、トップマネジメントがリーダーシップをとれず、ビジョンがない、彼らを活かすことができない経営をしているのであれば、彼らはそこで働く意味を持てず、そこを去る、あるいは去らないまでも力を発揮できないことになるでしょう。

 逆のケースであれば、尊敬されるリーダーシップをとれるトップマネジメントのもと、多くの気概をもった、トップの思いや考え方に共鳴する多くの優れた医師やスタッフが集り、よい医療を提供することができるようになります。ある病院は、業績が悪かったにもかかわらず、よいトップマネジメントが着任したことで見違えるようによくなる場合があることに気が付かなければなりません。よい病院はよいマネジメントをしているのです。

 よい病院であるのか、よくない病院であるのかは、マネジメントの巧拙に大きく影響します。なお、ここでよいというのは全体としての概念であり、総合的にみたうえでの病院の評価です。突出して有名な医師がいる病院が必ずしもよい病院ではないケースがあります。とりたてて著名な医師はいないけれども医師やスタッフ一人ひとりが協調とプライドをもって、有名ではないけれども懸命に患者さんのために力を発揮できるそんな場をつくれている病院が全体としてよい病院であると思います。

 みなが活き活きして、それが患者さんにも伝わる。週刊誌にも載らないし、メディアでとりあげられもしない。でもとても尊敬できるトップがいて、皆がトップや幹部を信頼して仕事をしている。仕事というよりも医療看護をしている。そんな病院がよい病院であると思っています。

 よい病院とよくない病院の見分け方は、言い換えればよい医療がよいマネジメントのもとで行なわれている病院と、そうではない病院の見分け方であるということができます。
 ビジョンがある、戦略がある、事業計画がある、人事が正しく行なわれている、医師やスタッフは、常に合目的に活動しており、活動を円滑に行なうことができる道具が準備されている、といったことがおこなれます。毎月の管理会計が正しく行なわれ、行動の結果は常にチェックされ、修正され、成果をあげるまで行動が誘導されます。
 
 このブログでは、よいマネジメントとはどのようなものであるのかということを、私たちなりに追い求めていきたいと考えています。
 医療機関の経営環境はとても悪くなってきました。気を抜くとあっという間に業績を落としてしまいます。本当によい医療をしたい、よい医療を提供したいという病院が医療を続けていけることができる、職員の処遇を変えることができる、設備投資をすることができる、そのために皆さんとどうしたら、よい病院にしていくことができるのかを考えて行ければと考えているのです。
 
 多くの理事長や院長、事務長と、そして看護師やコメディカル、事務スタッフと議論をし、制度を導入するなど、私たちはたいしたことができはしませんでしたが、約10年間、医療機関のマネジメントの仕組みつくりを行なってきました。また今でもそうした仕事をつづけています。ここでの経験が、少しでも役に立てばとも思っています。皆さんからの意見やご指導をどんどんいただき、ほんとうに役に立つよい病院のマネジメントの仕組みができればよいと思っているのです。宜しくお願いします。