よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

医療機関全体の構造(2)

 すでに一部であり、全体である。個々の医療機関のあり方を示した状態です。独立した一部でありながら、全体を構成する部分である。
 
 ということもできます。これは全体が成り立つためには一部が必要であり、一部が成り立つためには全体が必要であるという意味でもあります。医療機関介護施設をマクロで捉えたときに、これほどこの文脈がフィットする時代は過去にありませんでした。個々が成り立つように活動すれば、それで全体が自動的に成り立つという時代ではない。

 個々は全体が成り立つように活動することが重要である。個々が無秩序に動けば全体が成り立たない。全体が成り立たなければ結局個は成り立たなくなる。このことに気がつけばあらゆるネットワークをいま組成しなければならない理由が理解できます。急性期病院は急性期病院としてだけではなく、診療所や介護施設、訪看を視野に入れた活動を行うことで、自らの機能を果たすことができるということを知らなければなりません。
 
 一部の超競争状態における優れた急性期病院は、いまだ自らの機能を徹底することにより自らを活かすことができると錯覚しています。しかし、間違いなく看護基準とともに平均在院日数が短縮し、患者を外に出していく必要があります。出さなければ入れない。やはり後連携における患者の行き場所を確保しなければならないのです。

 当たり前ではありますが、有効で患者の立場に立った療養環境を用意することができなければ、自らの使命を果たせない。それが医療機関や介護事業者である、という主張です。たぶん皆さんが考えている地域完結型医療より範囲の広い概念であると考えています。その説明は順次することになります(続く)。


「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」