よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

DPCは改革のための素敵な贈り物

 DPCが40万床の病院に導入されようとしています。

 というか、これが急性期病院の残る数といわれて随分時間が経ちました。医療制度改革は、医療費の削減といったテーマを基礎として、病院数を減少させることが大きな課題となっているようです。療養型病院をも含め、病院が疲弊し淘汰されるながれができあがっています。

 しかし、従来病院は業務改革をかたちとしては導入してきたものの、本当の意味での仕事の仕組みの見直しをしてこなかったのではないかという思いがあります。いつも小手先で対応し、結局中途半端になっていなかったでしょうか?方法がわからないという現実もありますが、もっととっと徹底的に対処すれば変わるものも数多くあります。

 医師を中心とした合理的で質の高い医療を提供するためには、個人に頼らずしかし個人の力が発揮できる仕組みづくりを行うことがとても重要になります。本質を見極めたうえで、何をしなければならないのか、どこまでもつきつめていけば必ず解はあります。

 まずは管理会計をモニタリングの道具として、数字をみながら何をすればよいのかについて議論しなければなりません。数字=指標という考え方も大切です。物事を定量化して課題を発見するというながれをつくりあげていく必要があります。目標数値にどのように到達していけばよいのかについて、仮説を立てて行動する。

 その癖をつくりあげることが組織や人をあるべきかたちに誘導する唯一の科学的対応である、という確信がなければなりません。仮説の検証、そして仮説の立案、また検証という行動をつくりあげること。一般の社会では当たり前の行動原理です。

 スタッフのもつ創造性を引き出し、みなで考えることにより成果をあげる。これほどすばらしいことはありません。DPCで大騒ぎするのではなく、DPCをきっかけとして本来の姿を取り戻す。医療の原点回帰のための道具がDPCであると私は考えています。

 DPCが導入されるなかで、いま医療はどうあるべきなのか、活発に議論されはじめてきました。いままで守られてきた業界であった医療業界のなかで、ことさらに危機感を煽るつもりはありませんが、よい医療を限られた資源のなかでどうつくりあげていくのかを考えることができない組織は、間違いなくマーケットから退場を勧告されることになる。

 逆にいまこれを機会と捉え積極的に考え行動する組織は永遠の成功を約束されることでしょう。DPCは医療業界のため、人間の英知が与えた自浄的な改革のための道具である。どのようにうまく利用していくのか、徹底的に議論する必要があると考えています。

「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」