よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

DPCかDRGか

 いま、巷ではDPCかDRGかで大騒ぎになっています。アメリカでは一入院当りの診療報酬であるDRGが採用され、一方日本は一日入院当り診療報酬であるDPCが導入準備されていました。そもそも出来高であった診療報酬が原則ドクターフィーをのぞきすべて定額になるということ事態、大きな事件であったわけですが、既に29万床、そして今年は39万床の病院がDPCの適用及び準備病院、さらには手上げ病院として舞台にあがってきます。

 厚労省は急性期病院はDPC適用が前提であり、DPCを適用しなければ急性期病院としてはなりたたないよう報酬を決定してくるでしょう。勿論、DRGがそうであったようにDPCも統計を取り続けるなかで、徐々に点数を下げ、業務改革を行わない病院は利益がでないといった仕組みにしていくようです。

 PCデータを整理していたら、次のような文章がでてきました。これは何かの雑誌の原稿として書いた者の一部であると推定されます。

 DPCは1日入院単価での「まるめ」の診療報酬であり、常に変更されるものでもある。ある病院がICDコードで申請したデータは、厚生労働省により統計化され、病院の診療状況がチェックされたのち、そのデータをもとに次の点数が決まる。

 各病院が利益を出そうと必死になって治療を合理化し、生産性をあげていくと全体としてそれがおおきな傾向になれば、次のDPCの疾病別の点数は引き下げられる、ということは常にコストを削減するため質の高い医療を行う病院しか残れない、ということである。したがって、DPC下においてはコスト削減がテーマとなる。

 部門別損益計算や行為別原価計算、患者別疾病別原価計算などを行うとともに、どこのコストが標準よりも高いのかについて徹底的に分析することができる管理会計が導入されなければならない。コスト目標に対して同動くのか、医療材料の仕様をどう落とすのか、安く購入するのか、無駄なことはしない。固定費や変動比率を同下げるのかについて議論することになる。

 ということで、いつも病院関係者と上記の話しをします。結局は診療報酬請求方法の習得ということではなく、DPCは病院業務改革による医療の質を向上させつつ、質の高い病院だけが存続していくためのかなり、インパクトのある手法であるということを。
 そのなかで、最近DRGの議論があります。
 DRGの適用があるのではないか、そのためにDPCの準備病院の手上げをしないのではないかという話です。あまり多くの病院がDPCを導入してしまえば、DRGへの移行ができないのではということがまことしやかに語られています。
 DRGになれば、もっと大変な環境になることは間違いありません。

 しかし、ある病院の幹部が話していました。「どちらでも関係ない。私たちは制度には翻弄されない。自分達が質を高め続ければ、どっちになろうと変わりません。やることをやるだけです」結局はこういうことなのでしょう。

「よい病院、よくない病院の見分け方同時掲載記事」