よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

中国高級有料老人ホームと一般の有料老人ホーム(3)

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2.一般の有料老人ホーム
 ここは自立できない者が入所しており、かつ脳神経障害や認知症の利用者が80%だそうです。入居金は0円、そして毎月のコストが、1100元~1800元必要となるということでした。北京市内に公的な介護施設は123、民間は郊外も含めて47、都心にあるのはここだけということです。60歳になり定年になると1100元の報酬ととっていた人で年間4000元の年金があるという説明をしていましたが、残りは個人の負担になるのでしょう。
 
 スタッフ15名(看護職2名含む)で3シフトで勤務しており、8時から20時11名、21時~2時2名、17時~9時と3時~8時で2名といった体制ということでした。スタッフの報酬は1000元から1200元ということでしたが、人が取れないこと定着しないことが問題となっています。
現在50人の入居者であるが、これが限界。スタッフを募集できないからだ。北京の人はこの仕事をしたくないという説明はしましたが、介護サービスをするスタッフがいさえすれば60人まで入居者を増やすことができるという説明をしていました
 
 ここでの生活は、確かにすべてのサービスを民間でかつ都会で受けれるということではメリットがありますが、食事もスチールの入れ物だけでしたし、部屋も2人部屋がオープンなかたちでつくられており、
高級有料老人ホームとの差は歴然としていました。多くの庶民は、この施設に入ることすらできず、施設庁はいままで広告は一切したことがない。次から次へと入居者が申し込みをしてくると話していました。

 何れにしても、中国の高齢化の進むスピードは速く、認知症は北京の75万人おり、しかし2万7千ベッドしかないので、これを5万ベッドにしていきたいという政府の考えであるそうです

 そして、教育の荒廃や犯罪や親子の断絶といった家族の人間関係は破壊され、経済発展に伴い発生するいくつかの問題を抱えていることは確かです。中国はまず施設型の介護の充実を図るために、必死になって仕組みを整える必要があるということでしょう。北京ダックを頬張りながら、宴会の席で中国障害者連盟西城区の理事長が、私たちが老人になったときには、どうしたらよいのかわからない、と困った顔をしていました。自分達の将来がとても不安だといういう気持がよく伝わってきました。
 
 しかし、施設長や共同経営をしているYMCAの責任者の表情はとても慈愛に満ちており、懸命さがみてとれました。看護の方々も優しく利用者に接していて、きっと入居者は、ここに入ることができて幸せなんだとつくづく思ったものでした。


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