よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

日の丸理論

 今日は、大阪のK病院の事務局長と部門別損益計算のミーティングをしていました。途中で、事務局長が、循環器の医師がきてカテが増えたので予想よりも収入が増加した。結局は自分たちが経営改革を徹底して行って国旗の色を真っ白にするけれども、日の丸の赤い部分は医師の力だという話をされました。同席していたR総研のIさんは、これをただちに日の丸理論というように名づけましたが、まさにその通りであると思います。

 経営方針だ、目標管理だ、ブリーフィングだ、KPIだ、原価計算だ、パスだ、マニュアルだ、教育だリスクマネジメントだ、業務改革だ、なんだかんだといっても、結局は国旗の白い部分をより白くするだけでのこと。旗として成り立つには、真っ赤な日の丸をあるべき大きさにしていく医師の力が必要。それもスタードクターが一人来るだけであっというまに業績が変わる。
ということでした。

 実際、S市のS病院は、大学教授が来て心臓の手術を始めた途端業績は上向きましたし、T病院の内視鏡スペシャリストが来た途端、明らかに業績は伸びました。また、逆にY病院ではO先生が辞めた途端売上2億円マイナス…。間違いなく医師の力は絶大です。

 事務局長は、しかし、こう付け加えました。真っ白な部分が黒だったりグレーだったりすれば赤い丸はつくれない。医師は病院の雰囲気やスタッフの状況をよくみているものだ。我々はできるだけ真っ白に旗を白くする、そして赤い丸が鮮明に見えるよう努力し続ける必要がある、と。

 折しも、7月6日発売の日経ビジネスに、医療崩壊のウソという記事が特集で載っていました。経営の力により病院は大きく変革する。業績も改善する。これはすなわち地域医療に貢献できる機会を増大することであると思いました。医療崩壊は経営改革により十分立ち直ることができるといつも叫んでいる私は、こうした特集があると、少し溜飲を下げるのでした。

 京都に移動し、これからK銀行との医療勉強会が始まります。私たちホワイトボックス株式会社は、これからも、医療崩壊を阻止する対応への、小さな積み重ね活動を進めていくため、努力していきたいと考えています。



「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」