銀行審査部の勉強会で説明した資料をこれから提示します。銀行が病院をどのようにみていくのかといったことについての、新しい考え方を説明しています。病院は、このようにこれからは銀行からみられるんだということを理解して、銀行との取引を行っていく必要があります。
1.概要
病院は静態的な指標を提供する財務諸表だけで病院経営を判断することは危険です。
業績が悪化しつつあることを、ある時点の財務データだけでは判断できないことや、逆に業績が改善しつつあることをある時点の財務データだけでは判断できないからです。
勿論、業績が悪くなれば徐々に財務データに結果が反映され、最終的には判断ができますし、また業績が良くなれば徐々に財務データが改善されることも確かです。
しかし、そこにはタイムラグがあり、結果がでるプロセスにおいては、判断ミスを犯すことがあります。良くなる傾向にある病院に与信を与えない。また悪くなる傾向がある病院に与信を与えることがないよう対応するためにも、審査的には、財務データに表れない動態的指標によって病院の傾向をつかみ、適切な判断を行なう必要があります。
どのような場合に業績が悪化するのか、またどのような場合に業績が改善するのかについて財務データ以外に動態的データにより判断基準をもたなければなりません。
2.構成
動態的に病院をみる指標を数多く提示していますが、それらのなかには病院も入手していないもの、掌握していないものも数多く含まれています。
①単純であるもの
②病院もデータをもっているもの
③病院側がそのデータを提示することに躊躇しなくて済むもの
④比較することで病院の実態がつぶさに把握できるもの
⑤情報収集によって病院経営の全体が把握されることはないだろうと思ってもらえるもの
といった条件で整理した結果、以下に示す10項目となりました。
①新患が低減する傾向にある
②外来患者数が低減する傾向にある
③外来単価(外来日当点)が低減する傾向にある
④病床利用率が低減する(入院患者が低減する)傾向にある
⑤手術件数が低減する傾向にある
⑥入院単価(入院日当点)が低減する傾向にある
⑦平均在院日数が増加する傾向にある、あるいは増減が激しい
⑧紹介率が低く、増加していない。低減傾向にある
⑨医師が不足している
⑩看護師の定着率が低い
これらについては、別途説明を行うことになります(続く)