よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

医療機器とマネージメント(4)

医師の希望に対しても患者数が一定数に到達しなければ回収が困難であるところ、必要な患者数を確保できればGO、できなければWAITといった提案ができなければなりません。

なお、特殊原価調査においては、購入か、レンタルか、リースかといったことについても経済計算を行う必要があります。

これらが経営企画等の部署の役割であれば、現場の経験から彼らに情報提供を行う必要があります。いずれにしても、経営判断に関与できなければMEの本来の使命を果たすことはできません。

[2]機器機能の最大活用
 そして利用です。利用にあたっては、医療機器がうまく使えるように全方位での視野をもち対応することになります。

自らのスキルを向上させるとともに、利用者のスキルを向上させ、また、稼働率を管理しつつ、どのようにすればうまく点数がとれるのか、機器の機能を果たすことができるのかについての考えをもつ必要があります。

自部署においても、各セクションへの配置をするケースでは、配置するスタッフのスキルを測定し、質を落とさず現場のニーズに的確に応えていくことができているのかどうか、行動管理や実績把握を行いながら確認する必要があります。

稼働率管理については、経営企画ではあると考えますが、実際のところ現場情報はMEが持っているため、タイムリーに定性情報をも踏まえた情報提供を行うことができればよいと考えます。

これは放射線放射線、透析は透析、検査は検査、病棟は病棟等々、それぞれの部署でこれを実施し、その報告を受けるということであるのか、また、MEがそれらをすべて情報収集するのかについては、前者が一般的であると考えます。しかし、利用状況についてはMEが常に把握をし、問題点を認識しておくことが必要であると考えています。

[3]利用者への対応
現場からのクレームがないよう、常にニーズに応えていくためには、スタッフは、オールラウンダーをつくり続けていくことも視野に入れます。

併せて当該医療機器がどのような検査や治療に貢献するのかについて理解するだけではなく、対象疾患についての網羅歴な医療知識を最低限持ちあわすことができるよう訓練を怠ることはできません。

 スタッフ以外であったとしても、単なる操作だけではなく、目的や対象についての学習を他の委員会等との連携のなかで常に促し、医療の質向上に役立たせていく必要があります。


(2)医療機器が最も有効に活用されるようコントロールする
①現状把握
 Ⓐ定性情報収集
 Ⓑ定量情報収集

②情報提供
 Ⓐ分析による情報管理
 Ⓑ情報から発見した課題開示

③意思決定への貢献
 Ⓐ課題解決の対策立案
Ⓑ対策実行のための具体的活動
   
[1]資産管理 
 院内にどのような医療機器があるのか、いつ購入したのか、いくらで購入したのか、耐用年数は何年か、何台あるのか、どこにあるのか、どのような状況か、どのような使用頻度か、どのような使われ方をしているのか、修繕履歴か、といった台帳をもつことは当然のことです。

これは固定資産台帳で代替できるとも考えられますが、個別にそれらをもつ必要があります。履歴カードといったものがあり、カードで管理する病院が多いようです。これらは常に改定し書き換える必要があります。
  
[2]操作支援及びIA管理
 同時に使用する者に対し、操作マニュアルの整備ができているか、チェックシートはあるか、留意すべき点はどこにあるのか(マニュアルに併記することが基本)、事故があった場合には事故の種別、及び履歴についても記載が必要となります。

医療機器の未整備や誤操作に関わるもの、あるいは電源やコードへの躓き、他の医療機器との接合ミスによる事故など、その履歴はマニュアルの留意点に反映され、かつ勉強会等にて爾後に現場に対策説明や提案が行われる必要があります。

勿論、患者さんの属性に起因する抜管、抜去といったものについての当該機器に関する事故の履歴や場合によってはインシデントについても管理することにより、より事故発生の可能性は小さくなります。

 操作する者、そして患者さんの立場に立って、どのように医療機器を使うことができるのかをチェックするための情報収集は、MEの業務であると認識しなければなりません。
   
 上記に記載したように、情報収集したうえで、問題があれば解決のための手立てをとることが必要です(続く)。