よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

戦略を立てる病院と立てない病院

厳しい医療環境を迎え、病院は明確な羅針盤をもたなければならない時代になりました。病院の最も大きな羅針盤は事業計画書です。事業計画書は医業収入と医業費用を予算化したものをいいます。事業計画書は戦略により立案されます。戦略には外部戦略と内部戦略があります。外部戦略は、病院がどのような医療を行っていくのかを明らかにしたものであり、また内部戦略は組織や制度、そして仕組みをどう変えて行くのかを表現します。戦略を立案するためにはSWOT分析を行います。
 
SWOT分析は、病院の強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) を検討するための手法です。何か行動をしようとしたときには、必ず現状分析を行う必要があります。現状分析を行い、達成したい目標と比較し何を解決すればよいのかを決定します。それが戦略です。戦略は事業計画書に落とし込まれ、少なくとも①誰が②何を③いつまでに④どのように行うのかが計画されます。
 
 計画はPDCAサイクルに乗せて管理されます。PDCAはPlan(計画)Do(実行) Check(評価)Act(修正)の4 段階を繰り返しながら計画を達成していく考え方です。戦略が決定され事業計画書に落とされ、具体的なレベルで行動が計画され、一定の管理のなかでで実行されていく。これが病院で行われるべきマネジメントの基本です。
 環境や病院の現状を十分に分析し、吟味して、何を行えばよいのかを決定する。決定したものを具体的な計画に落とし、実行していく。
 
環境変化に的確に反応し成果をあげていくためには、ここで説明した経営のながれをつくることが必要です。戦略を立てなければ、的を得た行動をとることができず期待する成果を得られないばかりか、時代の変化についていけません。また、医療制度改革のなかで翻弄され、自らを見失う可能性すらあります。病院トップは、自院に明確な戦略があるか、再度確認をしなければなりません。
(文責:石井友二)  
出典:病院・診療所マネジメント羅針盤(アルフレッサ)