よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

医療の体制について

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 病院を運営にするにあたり、必要なことはその病院が地域で役割を果たしているかどうかです。
他の医療機関と連携し、病院の業態に合せた役割を果たしていれば、地域で質が高い病院とし、評価され残っていくのだと思います。
 役割を果たすということの定義が重要です。
 
 その業態に見合った成果をあげることができることが、役割を果たすこと。
プライマリーの役割をもつ医療機関には診療所がありますが、病院でもまたプライマリーが必要な業態もあります。外来は診療所、日本では未だ病院は入院という区別を完全にできるほど、仕組みはできていないし、また、今の日本の医療はそのような環境にはないからです。
 
 ただ、連携と言う意味で言えば、診療所。診療所では、患者さんに少しでも疑わしいところがあれば、紹介状を書き病院に紹介をする。病院は自院で診ることができる患者であれば自院でしっかりと診て治療をする。そうでなければ他に転院させるというながれが正しくできあがることで、患者さんの治療がスムーズに進みます。
 
 そのためには、診療所にはしっかりとした診断をできる医師がいなければならないし、また、紹介を受けた病院ではその疾病について治療ができる体制がなければなりません。医師や看護師の個別のスキルだけではなく、病院全体がシステムとして円滑に、連携し患者さんの治療を行えることが必要です。
 DPCを意識すると、一度に一人の患者さんで複数科にわたる連携ができづらい状況もありますが、院内でのコンサルティングをも含めた体制がとれる病院は役割を果たしているのだと思います。
 
 もちろん、高齢者医療においても、同様です。連携病院が回復期であったり医療療養病床であったりするわけですが、それぞれケアの質が高く役割を果たす病院は、目的達成のために、それなりの質を維持する病院でなければなりません。
 医療療養病床であれば、急性期病院の後を受けて、あるいは直接急性増悪した患者さんの治療を行い、一定の療養を経て自宅に帰ってもらうことができる機能や、ターミナルの患者さんのケアをするという役割を果たすということもあるでしょう。

何れにしても、米国ではできない、患者さんや家族、そして医師の判断により、その段階でベストの役割を果たす病院を選択し、連携のなかで役割を果す医療機関の提供する医療を日本では受けることができます。
 ただ、医療戦略の本質(マイケルポーター)日経BPに書かれているように、病院毎の病態のデータの比較がまだまだできていないところが、米国だけではなく日本でもあり、患者さんからみて十分な選択ができていない可能性はあります。

身近な知り合いの病院に、あるいは懇意にしている地域の病院に紹介をすることで診療所の医師の役割が果たされているからです。この治療については、この病院、この疾患であればこの病院という選択のデータが開示されていないのです。
 救いはDPC病院のデータは開示されているので、詳細にみていけばさまざまな情報が日本にはあり、米国と比較すれば間違いなくよい医療の仕組みを持っているのだと思いますが、患者さんや家族が、それらのデータを分析し病院を選択することは、意外と難しいのではないかと思います。。

より詳細に、また簡便に利用可能なシステムができあがれば、患者さんの選択する対象病院(ターゲット)が明確になります。

そうすれば多くの病院がそのターゲットとなろうとネガティブな課題をクリアし、役割を果たそうと日々努力することになると考えています。患者さんにも医療界全体にとっても、有効な結果を得ることができます。
 
 何れにしても私の見てきた診療所や病院のあ医師や看護師、スタッフの大半はとても献身的で、プライドをもち医療を行っています。

役割を果たしている病院の職員が報われる、そして患者さんが安心できるよりよい医療の仕組みや体制に、さらに磨きがかかればよいと思っています。

(写真は、病室から見た夕暮れ。三日月がでています)