よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

進化するマニュアル管理(2)マニュアルの意味

マニュアルというとどうしても硬直的なイメージが頭に浮かびます。

 しかし、マニュアルは多くの情報をもっており、その情報を管理することにより、そして習得することによりさまざまな改革への方向を確保することができます。マニュアルを経営の柱に据えることが必要です。

 病院は自明の理として機械で自動的に大量生産を行うことがなじまない、知的集約を前提とした労働集約的な組織であす。したがってその運営は、医師を中心とした人的資源を経営資源の中心においています。

 そこでは、医療に対する特別な意識(使命感に裏付けられた慈悲心とプライド)を前提とした知識や経験、それらに基づいた行為によって仕事が形成されている。職員は、医療及び医療周辺行為に必要な知識を学習し、経験し、習得し続ける必要があります。

 さらにその時点で自らもつ知識や経験を超える事態に、柔軟に対応しなければならなりません。これは、職員は自らの立場や役割に応じ、常に必要な知識と経験を確保し続けるプロセスにおいて発生する知識や経験を、凌駕する事態に対処していかなければならないことを意味しています。

 仕事において判断業務や応用動作が求められる所以です。

 しかし、判断業務や応用動作は、必要な知識や経験を得続けている者が、そのプロセスにおいて習得し実感した「知恵や発想及び事実」(根拠)に基づいて行われるものであることはいうまでもありません。逆にいえば、必要な知識や経験のない者が判断業務や応用動作、すなわち自ら考え行動することは、根拠のない仕事をすることと同義であり、とても危険であるということです。

 病院においては、立場や役割(資格及び職位)によって必要な知識や経験を常に確保するための道具を用意し、職員の技術技能を高め、維持し続けなければ医療の質を高めることはできません。
職員の技術技能を高め、維持し続けるためにマニュアルを利用します。

 マニュアルを高度に利用することによって、組織全体を病院改革のながれに乗せることができます。病院改革のベストプラクティスを生み出す源泉がマニュアルを中心とした経営管理体系であることを理解しなければなりません。

〔ドクタートレジャーボックス同時掲載記事〕