よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

進化するマニュアル管理(1)硬直的マニュアルからの脱却

このブログでは何度かご説明していますが再度整理します。

マニュアルは、手順、留意点、必要な知識・能力、接遇から成り立つ項目によって作成されます。ここでいうマニュアルはある意味、課業分析シートと同じ意味をもつものであるということがいえます。課業分析を行うことは、職員一人一人の仕事を、現状のまま明らかにしていくものです。

マニュアルを作成するときに、現状実行していないマニュアルを作成してしまうことがありますが、そのような現実と離れているマニュアルは、現場で誰も利用することがなく、したがって作成しただけで終わってしまうマニュアルになります。

病院機能評価をとるときに、単にマニュアルがあればよいというレベルであると、マニュアルを利用するためにはどうすればよいのかとったとこにまで考えが及ばないことがあります。マニュアルは仕事そのものであり、したがって利用することが有効であるとともに、間違いや追加しなければならないことが判る資料として利用することができるといった機能をもつことができるのです。

地域の患者さんに貢献できる病院をつくるためには、現状の業務を見直し、どこに仕事の仕組みを変えていくところがあるのかということ(課題)こと、そして課題解決のための作業を行い、その結果をマニュアルに反映させること、さらにそれらを利用して個々人の技術技能を評価し、不足する事項があればそれを教育の対象とすることが必要です。

現状の業務をつぶさに明らかにする業務マニュアルが必要な理由がここにあります。従来のマニュアルは、各部署毎に作り方がバラバラであり、フォームが統一されていない、あるいは手順と留意点が混濁しているマニュアルであることが多く、またマニュアルを利用するにあたって必要な知識・能力が手順に含まれており、他の部署のマニュアルは見たこともないし理解もできない、ということが通常でした。

実際に仕事は他部署にまたがっている、チーム医療がさけばれているなかで各部署はお互いの業務を理解し、相互に理解しあわなければならない、という要請があるなかで、従来のマニュアルはそうした要請に応えられないものでした。

マニュアルは、多くの役立ちがあります。

まずは、各部署同じフォーム、同じロジックでマニュアルを作成することによって、どの部署の者がみても理解できる。自分の部署と他部署の仕事の関係が判る、といったものとしていくことが必要です。そのことによって組織全体の仕事が俯瞰(ふかん)できるようになるとともに、業務のながれが正しく把握され、問題があれば改善されることになります。

課業分析をベースとしていることから、職務基準の基礎、職務分掌規程、権限規程作成の基礎、リスクマネジメントにおける事故抑止ツール、教育ツール、個人技術技能評価のツール、そしてクリティカルパスの個々項目のアセスメントへの利用といった多くの部分で役にたつ資料となります。

こでいうマニュアルを作成し、改善提案とリンクしながら常によりよく改定していくなかで仕事を変えるといった活動を継続することによって経営改革が達成されます。「進化するマニュアル」を管理することが適当です。

〔ドクタートレジャーボックス同時掲載記事〕