よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

教育システムについて(4)

なお、自己啓発を制度とした場合、前述したようにこれを科学的な判断で行う必要があり、体系化しておくことが必要です。また、病院側が、自己啓発のための予算を確保する必要が発生することもあります。


4.今後の進め方
今後は、3つの教育をどのように体系化し、制度化していくのかについて検討し、それらを利用した教育を行っていくことになります。
①マニュアルを常に学習する
②マニュアルを含め、常に業務を見直し業務改革を行う
③マニュアルを改訂する
④改訂されたマニュアルを習得する
といったながれを基本的な職場内教育の柱としていきます。

個人別に習得しなければならないマニュアルが習得できているかどうかをチェックするとともに、不足する部分があれば個人カルテ〔教育カルテ(A)〕に記載するとともに、集合教育や自己啓発についても、今後整備されてくるルールに基づいて教育の対象として利用できるよう仕掛けていくことになります。

教育制度整備のための作業は
①教育アンケートの収集分析
②教育体系の整備
③具体的資料の作成及びルール(教育規程等)の設定
④現状調査
⑤教育方針決定、育成計画の立案
⑥承認及び発表
⑦具体的作業への誘導
⑥新教育体系による教育開始
というながれを意識したかたちで実施することになります。

なお、別途スケジュールを立案するにあたり、現場で検討したうえで、各部門に諮問を行い、再度取りまとめたものを以って病院トップの承認を得ることで全体のながれをつくることになります。
今後は、教育委員会といったものを組織横断的に組成し、教育体系の整備運用、進化を誘導することができればよいと考えています。


5.まとめ
これらについて、これをたたき台として今後議論を重ねながら整備を行うとともに、常に制度を進化させていくことが必要です。
   
組織の要請と、医療従事者側のニーズが合致し、常に学際的アプローチが行われる医療、そしてそれらをベースとして経験を積み重ね、そしてノウハウを収集し活用していくことが必要です。

マニュアルをベースとした教育体制を整備することによって、常にリアリティのある患者さんの側に立った医療ができる体制をつくりあげることこそが、これからの急性期病院として勝ち残り、地域に貢献できる資格を得る条件となると考えます。
病院の教育システムについて全体的な制度構築を行なうことが必要です。

「ドクタートレジャーボックス記載記事」