よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

リスクマネジメントは何のため

リスクマネジメントの本質は、リスクを管理して、事故をなくすということですよね。

情報収集の段階から整理、分析、原因特定、そして対策立案、具体的な行動といったことが必要です。
多くの場合、原因分析のさまざまな手法があるにも関わらず、本質的な部分で特定ができず、結局対策が曖昧なまま、ショートカットで処理され、結果として業務改革や個人の技術技能の向上につながらないということが多いようです。

事故をなくす、ということは不可能であるといわれています。
しかし、だからといって、極限まで事故を減少させるための努力を怠る理由にはなりません。
そもそもインシデントはレベル0のみであるにも拘らず、レベル1やレベル2はその時点でのもので、
あとまで経過を追っていくということすらデータとして取られていません。

例えば転倒についても、その時点で実施したが問題なしであったとしても、そののちにどのような障害が発言するのかについての管理をしていないわけですから、やはり転倒を起こし、そしてインシデントだからよかったというわけにもきません。与薬インシデントの場合にも、同様です。いずれにしてもデータがないためにあまり重要であると考えられないのも問題です。

インシデント0は、施行されないように、施行されたものはすべて事故ですよね。厚生労働省の区分ではないはずです。これらについては、したがって絶対的な対策を立案し、絶対的に実施しなければならないことはいうまでもありません。

どのようなインシデントも業務改革につながらなければならない、と考えています。インシデントの段階で抑える必要があるので、インシデントをとっていることを忘れ、事故ではないから、すなわちレベル3ではないから、対策についてもおざなりになる、ということは本末転倒であると考えます。

レベル0(未遂)の間に、
①どのようなかたちで次に進んでしまう可能性があるのか
②事故になったらどのような影響を与えるインシデントであるのか
といったことを検討する必要があるのではないでしょうか。

レベル1、2、3、4、5、というのは、患者さんの状態であり、状態が悪いから問題、悪くないから問題ではないという次元での話しになっていることが多いようです。未遂であっても
①偶然踏みこたえたのか
②あるいは仕組みによって踏みこたえられたのか

によって大きく次のステップは変わります。
患者さんの個体差によっても、与薬事故であってもAさんではOK、しかしBさんでは×ということもあるわけですから、事故の本質を常に見るという意味では上記①②が必要であると考えます。
そうすることによって、事の重大さに気がつくのではないでしょうか。

我々は、このことを徹底的に追及します。
現状の多くの病院のリスクマネジメントは根本的にどこか本質的ではない感じがします。