よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

リスクマネジメントの問題点(2)

リスクマネジメントの問題点の検証をしていきます。

まずは、リスク処理フローです。
①インシデント、アクシデントレポートのフォームが整備されていない
②事故が起こってから処理されるまでのルートが確立されていない
といった内容です。

フォームが整備されていないことは、例えばマニュアルがあったのかないのか、記述が正しいのか正しくないのか、どのようなマニュアルにすればよいのかといったことを意味しています。
患者さんの氏名をはずすといったことを常態化する病院であっても記入欄は必要です。少なくともIDと氏名欄があり、氏名欄に記入がないといったかちでの対応が必要です。

さらに「1.レポートの処理ルートにおいて複数の目を通していない」といったことがあげられます。
現場担当者⇒責任者⇒RM⇒GRM⇒リスクマネジメント部会⇒医療安全対策委員会
といったながれが普通です。事故のレベルに応じて誰がどの事故を閲覧することになるのかのルーうにルも必要です。レベル3以上はGRM、院長、委員長で、それ未満は全員といったことが行われるようになると問題意識も高まると考えます。

次に対策の指示です。
「2.対策がショートカットになり、本質的な対策になっていない」といった項目についても、
①対策の本質を見抜く
②ヒューマンエラーにしない(ヒューマンエラーであれば、どうすればミスを抑止できるのか) を理解する必要がります。


例えば歩行器で転倒とあれば、事前に説明する、意識の醸成を図るといった問題について議論するだけでは足りず、結局根本的な問題について検討する必要があります。
ⅰ)どのようなところで問題が発生しているか
ⅱ)原因を徹底的に分析したか
ⅲ)実験をして検証しているか

多くの場合、この部分の議論がないため、対策がとてもショートカットになり、できていない⇒できるようにするためにはどのような方法があるのか、といったことを議論していく必要があります。

(続く)

「ドクタートレジャーボックス掲載記事」