よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

看護部課題(1)

北海道E病院で看護部の幹部に対しヒヤリングを行いました。以下結果について、その一部を提供します。

(1)目標管理制度の精度
目標管理制度については、きちっと実施している部署とそうではない部署に分けられます。部門目標を具体化する段階で、方法が明確ではないこともあるようです。また個人に落して個人レベルで目標を達成させることについて得意ではない部分もあります。個人に現場での指導は厳格に行っているものの、目標管理を意識していないケースも散見されます。なお、トップの異動があり、結果として目標の引継ぎや設定時の状況が把握できず、「人を動かせない」という状況がありましたが、これはいたしかたないことであるかもしれません。

何れにしても、今後目標管理を行うにあたり、病院として目標の設定や目標達成の方法にもう少し関与していくことが必要です。

また、現状の目標管理においては、経営方針を部門目標とし、さらに個人に落すという、いわゆる縦の目標設定を行っており、横の目標、すなわち当該個人がもっていなければならない技術技能をどう高めていくのかといった目標については、これを仕組みとして設定していないことを理解しています。
 
「目標管理の目的が明確ではない。理解ができるようにして欲しい。説明ができていない」といった意見がありましたが、病院側は十分であると考えても、そうではないことがあるので留意が必要です。


(2)看護プロセス確立
現状では、観察(アナムネ)についてのオーディットが複数回行われています。オーディットをする委員が観察時に抜けがある場合には返すといったことにより質の向上を図っています。

しかし、本来は診断、計画、実施、記録(→退院要約)とオーディットの段階をあげていくことが必要です。看護記録については、看護教育委員会と一定程度の作業を行ったとの情報もありますが、プロセス全体における対応はできていないようです。
「標準化された診断ツールはない」ということでもあり、オーディットや検討を通じた「看護プロセスの確立」を看護部全体のテーマとして、今以上に個々の項目を見直すことが必要でしょう。


看護部はどちらかという誰からも不可侵であり、誰からも組織運営に対し指示や指導を受けません。
先日の大阪のセミナーでも看護師さんのグループに向かって話しましたが、第三者に評価を受けるということが必要です。それは病院機能評価とか、医療監視ではなく、同じ目的をもった組織の一員としての院内における看護部以外の第三者でなければならないと考えます。