よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

教育体系整備の必要性

 私たちは病院が知的労働集約産業であると考えていますが、実際に医師やスタッフの考え方で病院は大きく変わってしまいます。戦略を明確にして、医師やスタッフの力を最大限引き出すマネジメントさえあれば、よほどのマーケットではない限り急性期病院は経営を成り立たせることができるとの考えです。

 しかし、ここでいうマネジメントさえあれば、という部分がなかなかつくれないのが現状です。

 考え方を提示し、ひとつにまとめ、そのなかでそれぞれの成果を確保していくためには、人を動かす情熱や強いリーダーシップが絶対に必要ですし、また、そのための道具が必要です。道具が整備され、それをうまく利用して成果をあげるまでに一定の時間も必要です。
 
それよりもなによりも道具をつくってそれを利用に値するものとし、現場に納得してもらうものとすることがとても難しいということです。

 医療従事者は一定のモラールや、プロとしての学習の経験をもってはいるものの、新しいことについては、逆に素直に受け入れられない傾向があると思います。
 
 彼らと粘り強く議論することも必要で、そうした考えを合わせていく作業にまた時間を必要とする、と考えています。ですから、医療制度改革によっておおきく業績を落とす病院も含め、これから戦略的に成果をあげていかなければならない病院は、いくつかあげた課題をクリヤーするかたちでマネジメントを行なう必要があります。
 
 マネジメントのなかでもっとも重要なキーワードは教育です。教育の体系を整備しなければ、日々のスタッフの知識や経験をスピーディーに仕事に反映させることはできません。
 ①マニュアルの作成
 ②マニュアル管理システムの確立
 ③職務基準の確立
 ④職務基準による個人評価の整備
 ⑤職場内教育の確立
 ⑥院内研修の体系化
 ⑦院外研修の利用
について体系化する必要があります。卒後研修のためのプリセプター制度もOKですし、それに続く看護部のラダーも重要ですが、より体系化された病院全体としての教育システムを構築するなかで、それらをうまく利用していくといった考え方をとることが適当です。

「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」