よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

のぞみで思った、のぞみ

 車窓にながれていく景色がとても素敵です。新大阪発ののぞみで東京に向かっています。今は既に19時を廻っていますが、夕暮れといった感じです。

 薄暗くなりつつある風景のなかで、遠くの山々がうっすらとその存在感を誇示しています。

 近くの山と離れたやまとの緑のコントラスとが、田園風景のなかでひときわくっきりと見えています。ときどき見える工場が凛として通りすぎていきます。
 
 新幹線のベルがなり終わってから、もう50分が経過しています。京都をすぎ、次の名古屋までは誰も人は乗ってきません。新幹線特有の、シューンという音を立てながら、そしてときどき線路の音を拾いながら列車は疾走しています。

 さきほど、たまっていたいくつかのPCでの作業が一通り終わり、昨日と今日のことを思い出していました。

 医療介護関係の企業から研修会の依頼を受け、全国から集った幹部の方々とディスカスしてきたのです。医療業界はまさに怒涛の改革のなかで翻弄されています。後期高齢者医療が展開されたときにはいったいどうなるのだろうかと考えると背筋がとても寒くなるのを感じます。

 日本経済が破綻する寸前のいま、国民は懸命に働く必要があります。ランチェスター戦略でいえば、日本は弱者です。

 弱者の戦略をどうとり、経済を活性化させていくのかについて国レベルの戦略がみえてきません。危機感をもち、一人ひとりが懸命に今の仕事で成果をあげていかなければならないのです。とりわけ、医療介護業界は明らかにまずい方向に進んでいます。

 しかし、本当に一人ひとりが意識を変え、病院トップが戦略を練り全職員の協力のもと自院の経営資源の最適化を図ることができれば、病院も施設もある領域までは成果をあげることができると考えます。今必要なことはすべての医療介護関係者が他の業種に従事している多くの国民と同じように、科学的な管理のもとより生産性を高めるかたちで活動することだと考えているのです。

 医療介護を取り巻く業者の方々も、病院や施設、診療所のニーズに的確に応えるよう行動できれば間違いなく残っていくことができるとすることが相当です。DPC病院のニーズ、療養型病院のニーズ、診療所や施設、介護事業者のニーズを満たす商製品開発やサービスの提供を創造的に考えることが求められているのです。すでに外は夜の帳が下りています。

 名古屋を通過し、風景が一変しています。ビルの明かりや町の明かりが夜のなかでたくさん点滅し、そこで暮らす人々の道しるべになっています。暗闇のなかで必ず光を掴むことができます。医療介護の原点回帰を今こそ達成する必要があります。医療や介護の本質にどう近づくのか。本当に努力と研鑽を行うこと。

 そして執念をもつことが必要だ、と今感じています。自分が変革することができなければ、組織は変われない。そんな思いをもった医療従事者がたくさん輩出される医療機関介護施設のための支援をできる我々になりたい。そんな思いが頭をよぎります。

 いま、私ののぞみは浜松をちょうど過ぎたところです。