寒さに身を縮めて出かける漆黒の冬の朝早く、またヘトヘトに疲れ果てて夜遅く帰るとき、私はいつも街路灯のお世話になっています。光に導かれて私たちは朝も夜も生きています。もし街路灯がなかったら私たちは今の生活を維持することは難しいでしょう。
よく考えてみると人類には薪や蝋燭、油の光で夜を過ごした時代がながく続いていました。
そののち、ガス灯、アーク灯を経て本格的な街路灯が普及し、とても便利になりました。その時期は関東大震災1923年（大正12）後であるといわれています。こうした街路灯や照明のお世話になってから100年近く経っています。
長いといえば長いですが、短いといえば短いですね。いずれにしても私達は、光があるから何かを目指すことができるし、また時間を有効に使うことができます。
では、人間が「光る」ことについてはどうでしょうか。
私達一人一人は誰かの光でなければならないと考えます。人間は生まれたときから自然にそのような関係性のなかで生きています。自分では意識しなくてもこの世に生まれると誰かの「希望」になって大切に育てられるし、社会人になれば例え誰も気づかない小さな明かりであったとしても、必ず誰かの「役に立っている」からです。
また、意識して自らの思いを信念に変え行動して成果をあげた者も光り輝いています。もちろん人は蛍光灯のように実際に光るのではなく、その人の表情や言葉の勢い、活力ある行動などから得られる印象を「光る」と言っています。
あたかも光っているという印象を与えるのです。何かを成し遂げようと努力することが、執念を生み情熱を育て光の源泉になります。
光り輝く者は光り輝く者を周りに集め、それらはさらに相乗的に輝き、ルクス（照度）をあげていきます。
以前、中村祥子という著名なバレリーナの舞台を観たときに彼女が舞台に弾け出てくると、照明が当っていないにも関わらず彼女の周りが光って見えたことを思い出します。
そらは私だけの錯覚だと思っていましたが、他のファンのブログにも、彼女は光り輝いて見えたという記述があり、本当に中村祥子は光って見えたのだと判りました。やっぱりそうなんだ、他を寄せ付けないプライドと技術に裏付けられた彼女のオーラだったんだと、とても感動したことを覚えています。
オーラは、一般的には、人間（物体のこともある）が放出する雰囲気や霊気であるといわれますが、まさに彼女から放出された華麗で温かいオーラが光り輝いて見えたのです。
ここまではいかないとしても、私たちすべての人間は光り輝くために闘わなければなりません。自分が自分なりに役割を決め使命感をもって闘うことで、皆は光り輝くことができるのです。他者ではなく自己との闘いです。
懸命に頑張っている人は、そのさまが外部に伝わります。人として生まれたかぎり、困難にめげずに耐えてやり抜く、という姿勢は誰がみても魅力的です。
困難には始めから与えられたものもあるし、目標を設定した段階から創り出されるものもあります。人生は、何かの困難をクリヤーしてもまた難局を迎え、それを乗りこえたあとさらに新しい壁が立ちはだかり、力を振り絞りそれを乗越える日々の連続です。
自分は何かを乗り越えてきたという実感をもちつつ成長を肌で感じ、光りながら連続した時間を生きることが人なのだと考えています。
それぞれが自分なりに光り輝く自分をつくりあげるために、そして私達一人ひとりが、社会を照らす小さな街路灯の一つになれるよう、生きていきたいものですね。
