ホテルの窓からは、その街の景色が見えます。その街がどのようなところであるのかを、ホテルの窓から垣間見ることができます。
活気のある街は活気が窓から溢れてきますし、元気のない街は、その様子を伺うことができます。
季節が変われば、季節の香りを届けてくれるし、夜であれば暗く、朝は爽やかな空気に包まれた明るい街が光のなかに息づいていたりします。
カーテンを閉めればどのホテルもほとんど同じ。しかしカーテンを開けただけで、街とホテルの部屋が一体となり、その地域を意識させることになるのです。たった布一枚で隔てられた外と室内が同じ命をもつ瞬間です。
窓は、いまを知るための大切な仲介者であるということができます。
人間は、外側と内側に隔たりがあります。内側をすべてさらけだすことは不可能です。しかし、外側とのコンタクトをとらなければ、自分自身が生活者として、その場で生きていくことがはできません。外側の否定をすれば、内部は安定するかもしれません。
しかし自分のことを何も分からない他者は自分を受け入れてくれるはずもありません。
外側と一体となるとしても、すべてを曝け出すことは困難です。そこで、お互いが納得した社会生活を営むためには、真実に基づき、正直に、そして相互理解を図り、できるだけ窓を大きく開け放つことが必要です。
限界まで可能なかぎりの真実をもって心の窓を開け放ち、社会と一体となって成果をあげる。「ある高僧が人には4つの窓がある。
3つ目までは開くことができるが、4つ目の窓はどうしても開くことができないと話した」ということを聞きました。
勿論、3つ目の窓を誰にでも開くのではないそうです。
人はそうしたものだという理解をもち、しかし分かりあえることが大切であるということを伝えたかったのかもしれません。
自分の生き方を考える機会が来ていると、今思っています。