よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

病院における4つのマネジメント

 病院には、以下の4つのオペレーション領域があります。
(1)現場オペレーション(メディカルオペレーション)
 各職場単位のオペレーションです。その職場の目的が達成されるよう、業務の仕組みが確立され、運営する者のスキルが見直される、といったことが基本的なマネジメントになります。
 
(2)部署オペレーション(ディパートメントオペレーション)
 各職場をとりまとめるかたちで行われるオペレーションです。関連する部署がそれぞれ共通の目標をもって動くことや、他の職場との間に生まれる衝突(コンフリクト)を調整するといった機能をもったオペレーションです。

 組織全体との間の橋渡しになることもあります。部署オペレーションは医局、看護部、診療支援部(コメディカルをまとめている組織。貴院にはない)、事務部といった組織がそれらに該当します。

(3)業態固有オペレーション(セグメントオペレーション)
 特徴的なのはDPC制度です。療養病床には病床病床の、そして回復期には回復期の、さらに精神病床には精神病床のオペレーションがあります。たとえば、DPC病院であれば、DPC固有のオペレーションを行わなければ、収入や支出を管理することができません。
 ①ながく入院すればするほど収入は減る
 
 ②手術や高額な検査をしなければ収入は減る
 
 ③認められる機能をもたなければ収入は減る
 
 ④決まった運営をしなければコストは増加する
といったことへの対応を行いながら、利益を最大化することになります。
 そのためには、
 ①現場のDPC制度の習熟支援
 
 ②DPC用の行動及びルールの順守
が必要です。各部署がこれらを実践しているのかどうかについて徹底してマネジメントを行うことになります。

(4)組織オペレーション(オーガニゼーションオペレーション)
 病院の戦略を決めたり、方針を出したり、さらには徹底するという機能をもつマネジメントです。人事管理を設計することや、組織運営全般を行うことが対象となります。

 上記の4つのオペレーション領域へのマネジメントを適切に実施しなければ、病院経営をあるべきかたちで行うことはできません。多くの病院では、これらへのマネジメントが十分に行われていません。

 この論点については、ある時期に詳細を発表したいと考えています。