よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

DPC協議会in大阪2011(午前の部)

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 本日、NPO日本DPC協議会のセミナーが大阪桜ノ宮のリバーサイドホテルで行われました。国際医療福祉大学山本康弘教授の司会、理事長である医療法人白鳳会理事長古城資久先生のご挨拶で始まったセミナーでは、次の演題での講演が行われました。

 まず、国際医療福祉大学高橋泰先生による「DPC下の医療提供体制はどう変わるか」という講演では、基礎係数をベースとしたDPC制度の見直し、そして急性期病床のシナリオが説明され、いわゆるシナリオB3が協調され高度急性期20万床という仮説のなかで今後の病床の動きへの想定が行われました。

 さらに、二次医療圏分析を通じて、日本の医療提供体制を考えるという研究が発表され、あらゆる角度から日本の医療の実態を捉える試みが行われました。

 この内容は、驚愕すべきものであり、医療体制が地域別にどのように行われるべきなのか、医療需要の将来予測とともに、事例として高度機能病院のあり方が提示されました。

 人口動態や二次医療圏における病院やベッドの状況から、地域医療を守るべき高度機能病院のあり方を提言した、画期的な研究であると思います。

 次に、日本満性期医療協会会長の武久洋三先生から「PostDPC医療の再編を考える」と題して、90万床+33万床の一般病床と療養病床を併せたものを再分類され、病床50万床、療養病床が73万床と提示があり、前者のうち30万床が高度機能病院で残りが救急(のちに行われた対談のなかで20万床と30万床がよいと訂正されました)、という説明がありました。

 そして、厚労省は13:1と15:1を出来高から外したがっている、必ず包括になるという指摘があり、特別入院基本料を題材に、どのようにしてこれらのベッドを慢性期のベッドとして維持していくのかと言う説明がありました。

 そもそも、本来慢性期で療養すべき患者さんが、いわゆる急性期に入院することでミスマッチが起こり、余計な医療費がかかっている。もっと療養病床を活用すべきという論旨でした。

 但し、療養病床をもつときには、一般病床とケアミックスが好ましく、DPC病院から出た患者さんを診れる医療体制が整備されていなければならない。少なくとも200床未満の病院は地域療養支援病院となり、急性期病床も一部もちながら受け皿となって欲しいという意見を述べられました。

 さらに、医療療養病床の医療区分は実情にそぐわないということで、DPCに似た一定の疾病グループにより点数を決定し医療区分とする、慢性期病態別診療報酬制度の導入が提案されました。回復期、亜急性期、療養病床によるケアミックス、そして地域療養支援病院による受け皿づくりについて的確な指摘があったと思います。

 日頃詳細に議論していない部分であり、とても興味深く拝聴しました。

 医療法人大雄会の伊藤伸一先生をコーディネーターとした両者によるパネルディスカッションが行われたのち、午前の部は終了しました。なお、写真は古城先生、高橋先生です(続く)。