よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

いま組織に必要なもの

病院に必要な戦略が、増患、単価アップ、生産性向上であるとして、その達成ために必要なものはなんでしょうか。強いリーダーシップです。

これがあれば、何事も乗り越えることができます。いろいろな病院を訪問し、つくづくそう思います。まず、多くの人は、組織に帰属することで安心できます。

また、役割を持つことで自分の居場所を確保することができます。さらに評価されればなお嬉しい。マズローに言われなくても、納得できる話です。しかし、これら人間が持っている本質の発露に対し、それを阻害する要素が数多く発現します。

家庭の問題であったり、上司や仲間との軋轢、さらには仕事のでき具合に対する不満や挫折だったりする。それを乗り越えることができる人と、馴染む人に別れてしまう。自分でどうしょうもなくなり、放置され、その環境に慣れる、そこにいることを誰も気にしない環境に置かれれば、もう抜け出すことに意味がなくなります。

そのプロセスで気がつき、行動する人は隘路から抜け出すことができる可能性はありますが、そうでなければ、そこは心地よい所になることもある。心地よいと思わず悩み続ける人もいて、早く手を差し伸べる必要があることも、数多くあります。

これらを本来の姿に戻すことができるのは、誰でもない。良心をもち、医療をあるべき形で提供したい、与えられた社会資源を持って人生を医療に捧げたい、そこで自己実現したいと願う幹部です。

彼らがいれば、道に迷った職員の心を開き、彼らの良いところを引き出し鼓舞し、役割を作り、勇気を与え続けて行くことができます。

もともと進む方向は合っていた。組織の考え(もともとリーダーにより作り上げられてきた思想や、文化、行動様式)に、皆の意識を会わせることは本来は難しくない筈です。リーダーシップを発揮できる幹部の立ち振舞いは、組織に所属するすべての職員を、良い方向に誘導することができます。

リーダーが立ち上がれば、心ある職員が問題解決に動き、育ち、逓増的に成果が上がり続けることになります。病院毎の特性もあり、プロセスは一定ではないとしても、現状を変革することができるのです。当たり前のことではありますが、いまこそ、リーダーが立ち上がらなければならない。そんな時期が到来しています。