よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

わかりやすいリスクマネジメント(4)医療の質の向上による事故抑止Ⅱ

医療の質が高いスタッフとそうではないスタッフの事故が発生する確率は全然異なりますよね。

①知識
②経験1
③経験2
④実際の技術
⑤意識
⑥注意力
⑦集中力
⑧仕事の仕組み
が医療の質の要素であると考えます。
なお、①~⑦は個人の技術技能を分解したものです。

①はこうするとこうなる、という知識をもっているのといないのでは大違いであることは判ります

②は知識をもって仕事をしても、こういう場合にはこうなるといった経験をノウハウにしている人
といない人でも差がつきます

③は看護師のA子さんはこういうことをするから、A子さんの後工程については十分注意しようということや、このB医師の注射箋の字は、1の意味ではなく(  )=かっこ、なんだから間違いないように、とかの経験をいいます

④は知識や経験を実際の仕事のなかで正しく具現化できるかという技術

⑤意識は、こうしたら事故になる、訴訟になりやすい、間違いが起こるといったことに対処する意識。事故に対する意識をもっている者とそうではないものは大きく結果が異なります。勿論、一番重要な意識は「患者第一の医療を貫き通すんだ」という意識であると思います。

⑥は当該本人がもっている注意力、人の性格というべきものです。後発的に身につくケースもありますが、傾向的にすべての仕事に対し注意力をもって仕事をする人とそうでない人では事故発生の頻度は間違いなく違います。

⑦は、そんな人でも意識を常に集中し続けることはとても困難です。したがって、集中するためには、医療行為の重要性、あるいはトレーニング、さらにはヴィジョナリーなものの整備、職場環境の改善、処遇の改善、といったことが実施されることになります

⑧個人のミスを担保する、業務フローや権限規程がなければなりません。

①~⑧がすべて掛け算で計算され、その結果が事故が発生しない確率である、とします。
一つでも0があれば全体は0となり、発生しない確率は0、したがって確実に発生するということになります。

事例が沢山あるので、すべて思い当たりますが、皆さんはいかがですか?

〔ドクタートレジャーボックス「医療と健全経営」同時掲載〕